辰巳芳子さんの随筆に、「正月料理は、今日あることのことほぎだ」と書かれていることを教えてもらってから、もうずいぶんな年月が経ちました。地元紙のコラムででした。 嵐雪の〈ほつほつと喰摘みあらす夫婦かな〉の句の引用がありました。言葉を交わすでもなく、共白髪の二人が煮しめをつつく平穏。今日在ることのかけがえのなさが、生かされることのありがたさが滲みますような。 「あけましておめでとうございます どうぞ本年もよろしくお願いいたします」 お参りの方々と新年のご挨拶をさせていただきながら、家内では煮しめをつつく。ハレの日でございます。こんな静かな穏やかさは人生の滋味、いとおしい。 今年も静かに、丁寧に暮ら…