少し前のシリーズで、河原者を取り上げた。今回取り上げるのは、非人である。そもそも非人、とはなんぞや。これは難題で非人の定義によるのだ。過去の記事で述べた通り「河原者は非人の一種である」と捉える研究者もいるわけだから、本当はこのシリーズを先にやるべきであったかもしれない。 さて中世の記録を見ていくと「宿非人(しゅくひにん)」という言葉が出てくる。これは「宿」に住む「非人」ということである。では「宿」とは何か。これは中世において、非人たちが集住していた村のことを指す。 各地にあったこれら「宿」だが、近畿にあったものに関していえば、2つの系統に分けられる。まず大和・伊賀・南山城にあったもの。これらは…