20世紀初頭、ドイツのハーバーとボッシュがつくりあげた、画期的なアンモニア合成法。高温高圧で窒素と水素を鉄触媒で結合させて作る。これにより、植物の肥料のうち大きなウェイトを占める窒素分の補給がマメ科植物抜きで出来ることになり、またアンモニアを硝酸に変えることにより爆弾の開発にも安価な材料を提供することとなった。
はじめに 現代文明は、空気からパンを作っている。 そう言っても過言ではない。 20世紀初頭に確立されたハーバーボッシュ法は、空気中の窒素をアンモニアへ固定することで、人類の食料生産能力を飛躍的に高めた。 その結果、世界人口は爆発的に増加し、工業化農業は巨大化し、都市文明は膨張した。 しかし2020年代に入り、私たちは改めて気づき始めている。 このシステムは、あまりにも多くの前提条件の上に成り立っている。 安価な化石燃料 巨大プラント 国際物流 安定した国家 海上輸送 サプライチェーン これらのどれかが崩れるだけで、肥料価格は急騰し、食料供給そのものが不安定化する。 つまり窒素肥料は、単なる農業…
0. 導入:人類史最大の技術は監査されていない 20世紀最大の発明は何か。 原爆か、インターネットか、それともAIか。 しかし冷静に人口統計を見れば、答えはほぼ自明である。それは、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって実用化されたアンモニア合成技術、いわゆる**ハーバー・ボッシュ法**である。 この技術は、空気中の窒素を人工的に固定し、肥料を大量生産することを可能にした。結果として人類は、食料生産量を飛躍的に増やし、人口を爆発的に増やした。 だが―― この技術の「文明会計上の監査」は、いまだに行われていない。 本稿では、文明を一つの巨大企業と見なし、ハーバー・ボッシュ法がもたらした影響を…
ハーバー・ボッシュ法 目次 ハーバーボッシュ法 目次 参考資料 制作環境 ハーバーボッシュ法 目次 01. 人類は救われた 02. 人類は滅亡する 03. チリ硝石があれば 04. 空中ちっそ 05. オストワルト 06. ネルンストのカベ 07. パンの救世主 08. 仕事えらびのカベ 09. ビスマルク 10. クララ 11. 性別のカベ 12. セミの抜け殻 13. かべドン! 14. 戦争のカベ 15. オストワルト法 16. 大戦争 17. 科学者の戦争 18. 人道的な兵器 19. 塩素(えんそ) 20. イープルの戦い 21. 化学兵器の父 22. 妻の死 23. ノーベル賞 2…
N2 + 3H2 → 2NH3 ハーバー・ボッシュ法 (1918年 ノーベル化学賞)
食糧危機は解決できる 食糧危機は解決できる 空気から窒素を取り出そう 固定チッ素とは 空中チッ素固定の概要 N 三 N 空気から窒素を取り出そう 空気中の窒素(ちっそ)分子 N2 チッ素分子N2は空気中に78%含まれる 無色、無臭の気体。 チッ素はヘリウムの次に軽い気体で、 工業的には液体空気を分留することで得られる。 固定チッ素とは 多くの生物は 空気中のチッ素分子を吸収して、 タンパク質などの ほかの分子に変化させられないため、 空気中のチッ素を使うことができない。 植物が使うことのできるチッ素を 「固定チッ素」と呼び、 それらは 空気中にあるチッ素とは形態が違う。 アンモニア分子 NH3…
オストワルト登場 オストワルト登場 カール・ボッシュ登場 ネルンスト登場 空中チッ素固定の概要 うまくいかない理由 可逆反応とは 平衡とは 高圧にすると 平衡は右 オストワルト(1853年 - 1932年) カール・ボッシュ登場 (Carl Bosch、1874年 - 1940年) ネルンスト登場 空中チッ素固定の概要 N2 + 3H2 → 2NH3 チッ素 + 水素 → アンモニア (チッ素肥料の原料) うまくいかない理由 なぜなら、 このアンモニア合成反応は、 アンモニアができる右方向に 反応が進むこともあれば、 チッ素 + 水素 → アンモニア できたアンモニアが 元のチッ素と水素に戻っ…
チッソ固定の反応温度 チッソ固定の反応温度 反応温度のカベ 温度が高いと 温度が低いと 万策尽きた ネルンスト撤退 ハーバー登場 反応温度のカベ N2 + 3H2 → 2NH3 ΔH0 = -92kJ チッ素 + 水素 → アンモニア (チッ素肥料の原料) 温度が高いと チッ素 + 水素 ← アンモニア 温度が低いと 化学反応は 分子同士の衝突によって起こる。 なので、アンモニア合成反応でも、 気体の分子運動を活発にするだけの 熱エネルギーは必ず必要になる。 もし アンモニア合成系の温度が低すぎると、 気体の分子運動はにぶくなるので 反応速度が小さくなり、 平衡に達するまでに 時間がかかりすぎ…
『ゴルゴタの丘の夕べ』ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン作