#109 「彼の世界」の発生は、はじめは悲鳴のようなものだった。幻獣が現れた世界が苦しみ、世界そのものの意志のようなものを持ったのだ。 「彼の世界」は数が意味をなさないほどただひたすらに叫び続ける。その叫びが何かーー幻獣として生まれようとしていたものにぶつかった時、意思も言葉も持たないそれらは一つに溶け合って、「メギド」となった。「メギド」はただ一人この世界に産み落とされ、何をすればいいのかも自分が何者なのかも分からないままもがく。それが最初のメギドにして最後のエルダー、アルスノヴァである。 本能のままに幻獣を殺し続けたアルスノヴァは、ある時「彼の世界」の意図に気付く。幻獣をこの世界に送り込ん…