私たちが疎開生活を送っている頃、都市部では未曾有の食糧難に見舞われてました。 飢えと重労働で、誰もがガリガリにやせ、ひどい栄養失調になっていました。 重要な働き手である男性が軍隊に取られたため、田畠は荒れ放題。 終戦によって軍需産業もなくなりました。 もともと戦争で物資が不足していたところに、空襲で多くの工場や船が焼失、商いを始めようにも、元手となる原材料も設備も満足にありません。 当然生産力は急速に落ち込みます。 おまけに終戦の年は天候不良で稀に見る大凶作となりました。 米や小麦が不足し、食糧不足はますます深刻になります。 配給のわずかな食糧だけでは到底飢えをしのぐことなどできません。 生き…