庭の片隅に、紫の小さな花が咲いていた。バーベナ――たぶんそうだろう。私が植えた覚えはないのに、毎年この時期になると決まって姿を見せる。今まで特に気にも留めていなかったが、秋も深まり、花の少なくなる頃になると、その存在がふと目にとまる。 畑の緑の中で、小さな紫がひときわ輝いていた。よく見ると、細い茎の先に無数の小花が集まり、まるで光を集めるように咲いている。朝の光を受けて、透明な紫がきらりと揺れる。その姿は、どこか儚げでありながらも、季節を明るくしてくれる。 家族に聞けば、どうやら近所の方からもらってきて植えたものらしい。そんな話を聞くと、なんだか花にも物語があるようで、親しみが湧いてくる。 秋…