今日こそ爛漫たる花の盛りを観たくて、出かけたのだったが。 駅への道すがら、神社の脇を通る。境内から往来へ向けて、老桜樹が枝を伸ばしている。並木ではない。たった一本の大木が、さらに丈高い針葉樹類や雑木類に紛れながらも、肩肘を一杯に張って自己主張しているような満開ぶりだ。 なにも名所にまで赴いて、桜樹だけが勢揃いする場を眺めるばかりが花見でもあるまい。これはこれで爛漫ではないか。いやむしろ私らしくもある。なんぞと、自嘲思考に囚われてしまっては、もういけない。遠くまで出かける気が、とたんに失せてしまった。 家を出るまでは、バスに乗って、久しぶりに哲学堂まで行ってみようか。それとも高戸橋から神田川を眺…