基は建築家 Christopher Alexander による.相互に関連したパターンの集合.個々の問題の解決法であるパターンを組み合わせることにより,より体系的に問題を解決に導けるようにしたもの.
書籍: 『パタン・ランゲージ ― 環境設計の手引』 クリストファー・アレグザンダー 著平田 翰那 訳 参考: デザインパターンFAQ
パターンを書くのは、当然自分の知識やノウハウを人に伝えたいという思いから書きます。書いていく中で、より人々に共感や親しみを感じるように書くにはどうしたらよいのかと思うようになります。実際、パターンを読んで自分の業務などに活かしたいと思う人は、そのパターンに書かれている内容に初めて触れて学ぶので、多少なりとも認知的な負荷が生じるわけです。 このような負荷を抑えながら、パターンに記述された知識をいかに人にスムーズに伝えられるか。これをパターンの書き方によって、少しでも実現できないか。発表されているパターンを読みながら、そのようなことを考えています。今のところ、下に挙げるようなポイントがあるかなと考…
パターンを開発チームに浸透させていくには、どうしたらいいか、ここで仮説として思うのは、分かりやすい言葉でパターンを記述するのはもちろんのこと、文体を読みやすいように工夫することも必要なのではないか、ということです。 上司の部下に対する接し方として、一緒になって課題を考えてあげるいわゆる伴走型の上司が求められていると言われて久しいですが、パターンについても同様のことが言えるのではないか。 というのは、パターンは、ある比較的熟練者が他の人にノウハウを伝達する目的で作ります。そう考えると、パターンを記述する人には技術的あるいは知識的優位に立つという前提が生まれ、そこには意識するしないに関わらず上下関…
*** ・・・事業報告と会計の分離にて、会計帳簿から事業報告簿を切り離し、純化された会計記録で、会計帳簿から事業報告簿の役割分担を明確にしましたが、事業報告簿がどのような構成となるのかは、まだ明瞭ではありません。 *** 企業は、事業報告の目的に応じて、異なる報告基準を適用しなければなりません。典型的な例は、財務報告と経営報告(管理会計報告)に異なる基準を適用するケースです。また、上場企業においては、IFRSと所在国のローカル基準での財務報告が求められます。 特に後者への対応として、ERPシステムのいわゆる「複数帳簿機能」を適用するというアイデアが過去に提示されています([IBM,2010] …
*** ・・・事業報告と会計の分離で述べたように、事業報告から切り離された会計帳簿には、理想的には、報告基準(=会計基準)に依存しない取引記録が記録されるべきです。じっさいにそれを実現するには、従来の会計仕訳を、報告基準フリーな仕訳と、そうでない仕訳に分解しなければなりません。 *** 伝統的な会計仕訳は、取引事実の記録であるだけでなく報告基準にもとづく評価を含んでいます。このことが会計仕訳の作成業務を複雑にし、事業担当者にとって馴染みにくいものにしています。 設備の売却を例として、このあたりの事情をみてみましょう。 取得原価 1,000千円、減価償却累計額900千円の設備が150千円で売却さ…
*** 現代における会計は、事業活動を担う人々にとって大変わかりにくいものになっています。その一方で、財務報告(財務会計)・経営報告(管理会計)のニーズは高度化し、従来の会計及び会計帳簿の枠組みに収まらなくなりつつあります。 *** 会計への財務報告の浸潤 一番目の問題の背景として、会計に財務報告の要素が混入し過ぎ、財務報告基準に従って加工された数値が、事業活動において日々あらわれる取引金額と結びつきにくくなっているという事情があります。近年、国際財務報告基準(IFRS)の適用にともない、市場での時価あるいは将来キャッシュフローの見込みといった要素が財務報告に織り込まれるようになり、この傾向が…
コパイロツトでは、ホラクラシー1を導入して組織運営を行っていますが、日々、組織を改善していく仕組みがあることの価値を痛感しています。 組織構造に対して違和感や課題感を提起でき、すばやく変化していくことができるのは、ヒエラルキー・固定的な組織に慣れ親しんだ我々には信じにくい部分があるかもしれませんが、変化の激しい現代においては不可欠な組織のあり方だと感じています。このようなアジリティ(俊敏性)がホラクラシーの特徴であり、ホラクラシーはアジャイルに組織を作っていくプロセスであると言えるのではないかと思います。 この記事では、アジャイルに組織を作っていく方法論を「パターン・ランゲージ」によって型化し…
WIRED日本語版の編集長をされていた若林恵さんの著書「さよなら未来」に、こんな一節がある。 完全無欠にして最終的な「正解」が未来にはある、と考えることこそ最も危険な未来論である、というのが最近のぼくのお気に入りの未来論だ。長い過渡期にあってすべては過渡的だ。なので、どこまで行っても問題は常にある。ということは見出されるべき解決策もその都度あるということだ。そしてそれを探すのは、ほかでもない、ぼくら自身なのだ。(さよなら未来、p217) これは、ナレッジ・マネジメントについても言えるのではないだろうか。 ナレッジ・マネジメントはしばしば、ある答えを提示してくれる夢のような仕組みとして捉えられる…
「オレゴン大学の実験」 発行 1975年 著者 クリストファー・アレグザンダー 訳者 宮本雅明 解説 西川幸次 序 本書はオレゴン大学のマスタープランであり、世界中どのコミュニティでもマスタープランとして採用できるようプロセスを定めた本である。 あるコミュニティでの建設とプランニングの方法は、6つの原理に従うことで人々の要求に合致した環境作り出していける。この原理は誰でも自分のコミュニティに適応できるように手直しを施すことができる。 概要:オレゴン州ユージン郊外、学生数15000人、教員数訳3000人 (1973年時) Ⅰ有機的秩序 有機的秩序は環境の個々の部分の要求と全体の要求との間に完璧な…
先日記事を書いた通り、ふりかえりカンファレンスに参加&登壇してきました。 aki-m.hatenadiary.com aki-m.hatenadiary.com 当日はlean coffee形式でセッションを進めたこともあって、話せるように準備をしてきたものの一部しかお話することができなかったので、今日は話していなかった部分について、事前に準備していた話の一部を公開してみようと思います。(事前に準備しておいたものを全て公開することも考えたのですが、分量が多く読むのがなかなかしんどそうなのと、事前に準備していたものは口語形式でブログに乗せるために文体や表現を整える作業が大変だったので断念しました…
はじめに リンクアンドモチベーションでSRE/QAチームのEMをしている河野です。 本記事では、SREチームから見た開発組織の変遷をチームトポロジーを用いて解説します。 チームトポロジーとは 一言でいうと、「ソフトウェア開発体制の"定石"をモデル化したもの」です。これにより、組織におけるパターンランゲージ(共通言語)として扱うことができます。 詳しくは2022/3/16に行われたイベント「チームトポロジーを成功させる実践方法の探求」の資料と動画が分かりやすいのでそちらを参照ください。 slide.meguro.ryuzee.com timee.notion.site www.youtube.c…
2022年4月1日に、デジタル庁が「デジタルを活用する未来に向けて」を公開しました。 『デジタルを活用する未来に向けて』は、一人ひとりがよりよく暮らしていくために、どのようにデジタルを活用していくことができるのかについて考え、話し合い、実践していくための考え方を 28 のことばでまとめたものです。 28のことばは、「Core 暮らしや社会をよりよくする」と「A 一人ひとりの暮らしをよくする」「B コミュニティや活動を育てる」「C これからの社会をつくっていく」の3つのカテゴリーに分かれています。 28のことばは、学校に向けて書かれているわけではありませんが、「学校のなかでICTの利活用を進めて…
社内でアジャイル開発を議論するSlackチャンネル #tech_agile に見かけた良記事のまとめです。 ノウハウ・知見 フィーチャーファクトリーにならないように注意 有名なMVP図の解説 デュアルトラックアジャイルの実践 フィーチャーフラグの分類 ユニコーン企業の秘密をベースとしたスケーリングの考え方 落合博満に学ぶ 技術負債に立ち向かう前の話 TDDの考察 スクラムチームを生産的にするパターンランゲージ プロダクトバックログの整理の秘訣 30分で分かった気になるチームトポロジー 他社事例 メルカリCAMPシステム LIFULL GitLabで学んだ最高の働き方 atama+ LeSS事例…
こんにちは。Mirai Translator 開発チームEMのchika (@chika-mirai) です。 今回は書籍「チームトポロジー 」(通称:ちいとぽ)を読んだのでその感想エントリです。 チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計作者:マシュー・スケルトン,マニュエル・パイス日本能率協会マネジメントセンターAmazon 本書は昨年末頃の書籍プレゼント企画に個人的に応募して運良く当選した結果頂いたものですが、3ヶ月かかってようやくブログ投稿にこぎつけました。 #ちいとぽ 読んだよ!とようやく言えます。 プレゼントいただいたアトラクタさん、ありがとうございました…
「あなたはボタンを押すだけ、あとはお任せくださいー」アーキテクチャの権力に、我々は進んで自由を差し出して、ますます愚鈍になっていくのか ーThe World's First Ever Monster Truck Front Flip こんばんは、ベラドンナです。 最近、アラン・シリトーの『土曜の夜と日曜の朝』(1951)を読み始めたのですが、これがなかなかの面白さ。アークティック・モンキーズの1stアルバムのタイトル「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」の引用元の小説です。冒頭に「土曜の夜は1年のうちに52回しかない」という一節があり、も…
為田がフェローとして参加しています(と言っても、最近はメンバー各自がソロ活動で忙しくて集まれていませんが…)Ludix Labのリーダー、ゲーミフィケーション/シリアスゲームの研究者 藤本徹 先生の研究室が主催したオンラインセミナー「これからの子どもたちの遊びと学び」の第二部 研究活動報告の様子がYouTubeで公開されていましたので、見てみました。 www.youtube.com 第二部の研究活動報告が行われていたのは、以下の3点でした。 オンラインスクール「ゲームカレッジLv. 99」のトレーナー向けに開発したパターンランゲージ 教育的観点からのゲームレビュー2022 ゲームの学びについて…
ディスカッションを非同期でやるときの場づくりないしファシリテーションの方法、メーリングリスト世代の人が詳しそう— こま (@koma_koma_d) 2022年2月22日 技術系メーリングリストで質問するときのパターン・ランゲージ https://t.co/BEMxHfp4Wf 質問するときについてはこれがあるわけだが— こま (@koma_koma_d) 2022年2月22日 GitLabで学んだ最高の働き方 Developers Summit 2022-02-18 https://t.co/r0eYAyX1il 非同期でできることは非同期でやりきってから同期コミュニケーションするというのは…
パターン・ランゲージ読書会をはじめてみた 未経験から人類やってる駆け出しホモサピエンスこと、むろです。 表題の件についてです。 #日本入力フォーム協会 の活動のひとつとしてパターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語の読書会をはじめてみました。 日本入力フォーム協会 とは 誰も取り残さない入力フォーム をCredとして活動している協会です(おそらく)。 現在UIデザイナー、フロントエンドエンジニア4名で、不定期に集合しオンラインで入力フォームについて議論しています。 miroを使って、Webサービスの入力フォームを収集してヒューリスティック分析をしたりしています。 既存でまとまっている…
古い曲なんですけど、たまたま聴いて虜になっている日々。 最近の話 前回の投稿から早22日。早すぎる。決してこのブログの更新を諦めていた訳ではないけど、いろいろやってたら時が経っていた、と言い訳しておく。 あれから転職活動を始めたけど、転職活動って精神力いるなぁと感じる。今回は丁寧に会社選びをしていきたいと思っていろいろ話を聞いてから選考に進めるなどしてるけど、そうして丁寧に選んだ会社だからこそ一社でも不採用になったりするとそれだけで気持ちが落ちる。好意を寄せていた人にフラれた時のような虚無に苛まれる。実態は会社と自分が求めている要件のミスマッチなだけ、という事は頭で理解している。それでも落ち込…
この記事は 「ひとりでアジャイルo0h② Advent Calendar 2021」のday-20です。 adventar.org day-20は「XPエクストリーム・プログラミング導入編 ― XP実践の手引き」です。 XPエクストリーム・プログラミング導入編 ― XP実践の手引き (The XP Series)作者:ロン・ジェフリーズ,アン・アンダーソン,チェット・ヘンドリクソンピアソン・エデュケーションAmazon どんな本 「XPシリーズ」の1冊で、エクストリーム・プログラミング入門 の次のステップの位置づけになると思います。 名前の通り、「XPとはなにか」についての入門書的な説明の後の…
この記事は 「ひとりでアジャイルo0h② Advent Calendar 2021」のday-25です。 adventar.org day-25は「組織パターン」です。 25!!!やっと!長かったです・・・ 組織パターン作者:James O. Coplien,Neil B. Harriosn翔泳社Amazon どんな本 原題は「Organizational Patterns of Agile Software Development」です。冒頭の記述を見ると、「組織としての学びや、病と癒やし、成長の為のパターン」というところになるでしょうか。 こうした「成長」や「癒やし」というのがアジャイルの…
この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-25です。遂にか・・・・・・・・・・ adventar.org day-25は「A Scrum Book: The Spirit of the Game」です。 A Scrum Book: The Spirit of the Game (English Edition)作者:Sutherland, Jeff,Coplien, James O.Pragmatic BookshelfAmazon どんな本 「スクラムをパターンランゲージとして捉えてみたらどう説明されるのか」といった試みをまとめた本です。 …
この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-24です。 adventar.org day-24は「パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則」です。 パターン、Wiki、XP ―― 時を超えた創造の原則 WEB+DB PRESS plus作者:江渡 浩一郎技術評論社Amazon どんな本 非常に名著でした。 タイトルだけだと「その3つに何の関連性があるのか」というのも分からなそうで、とてもとっつきにくそうな印象を覚えるかも知れません。 自分は「周りの人(の一部)がみんな読んでいる/読むべき本として名を挙げているから」というフワフワした理由…