「行為遂行的」という意味。
行為遂行的発言と事実確認的(コンスタティブ)発言を区別するJ・L・オースティンの用語。
事実確認的(コンスタティブ)発言は、何等かの事態を陳述する。それは真偽によって判断される。
行為遂行的(パフォーマティブ)な発言は、それを言うことによって行為する。たとえば、「命名する」という言葉は、何等かの事態を確認しているのではなく、その言葉によって現に命名しているのである。またこれらは、状況によって適切・不適切で判断される。
読んだ本 ヘレン・プラックローズ/ジェームズ・リンゼイ『「社会正義」はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』早川書房 (2022) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 第四章「クィア理論」の終わりまで、139項まで読み終えた。 ここまで読むことによって著者が「クィア理論」や「ポストコロニアル理論」に対してどういう感情を抱いているのか理解できた。 これらの理論を俯瞰的に見ているようにみえるなかで「暴言」の類いも時々見受けられた。 これはい…
以前からめちゃくちゃ気になっていた本を、ついにAmazonでポチッと押してしまった。 ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon
こんにちは、皆さん。今日はサラス・サラスバシーが提唱した「エフェクチュエーション(effectuation)」という概念についてお話ししたいと思います。エフェクチュエーションは、起業家精神や意思決定において重要な役割を果たすコンセプトです。この記事では、エフェクチュエーションとは何か、その特徴や具体例についてわかりやすく説明します。 エフェクチュエーションとは、サラス・サラスバシーが提唱した起業家の行動や意思決定のプロセスを指す概念です。彼女はこれを、予測に基づいた「効率性(causation)」の逆であると位置付けました。エフェクチュエーションでは、起業家は利用可能なリソースや制約条件に基づ…
第一セメスター後のブログに引き続き、交換留学で学んでいるマンチェスター大学で第二セメスターで勉強したことを簡単にまとめ、紹介していく。 bnanananana7.hatenablog.com 今回は、特殊な履修方法で、演劇学の授業を2つ受講して、もう一つは留学生向けの負担の少ない英語の授業を受講し、空いた時間に演劇学の授業二つを聴講?オンライン教材で勉強した。 演劇学の建物。講義で使ったり、先生たちの部屋があったりする。 1. 演劇とパフォーマンス2(一年生の必修) 1.パフォーマンス 2.パフォーマティブ 3.パフォーマティビティ 4.オーディエンス、観客論 5.参加 6.劇場、サイトスペシ…
到着と反応に支配されていた黒歴史 過去のことを考えるほどに仕事やプライベートな問題から逃れるかのように「人望が欲しい」という『最強伝説黒沢』のような気持ちがあったことが蘇ってきて布団を被りたくなる。PV数がほしくて、ブクマされたくて、褒められたくて、商業媒体で書きたくて、広告収入が欲しいといった欲に支配されたことがなかったなんてとても言えない。ブログはパチンコであり、Twitterはスロットマシンなのだ。 書いたことは多くの人に到着して欲しいし、反応が欲しい。とにかく自分以外の人間を巻き込みたい気持ちがあったし、自分も巻き込まれていこうとしていた。だけども、個人的なことに他人を巻き込む必要はあ…
2023年4月4日 火曜日。 天気、晴れ。春。 天気を記すことが日記たる所作であると、荒川洋治『日記をつける』や古井由吉の小説から教わった。当然のように天気に手を加えることはできない。書くことそのものは虚構である、と堀江敏幸は書いたが、その意味では天気を記すことだけは虚構にならないのかもしれない。 日記にはなにを書いてもいいし、なにを書かなくてもいい。ヤマシタトモコの『違国日記』にもあるように、そんな書くことの虚構性においての不自由さにある、言葉が言葉にならないような未熟さとひたすらに向き合うほかない言葉との戯れと沈黙。書くことができない言葉と出会う体験。なんとなしの「声」はあるのに言葉になら…
●今日は『Art and Objects』の第一章「OOO and Art A First Summary」を読んだ。前半は、カント以降の哲学史を概説しながら(ヒューム・カント・ヘーゲル・フッサール・ハイデカー)、自らの依って立つ「オブジェクト指向存在論」の立場を示したもので、これがとてもわかりやすい(なぜ「四方対象(現実的対象・現実的性質・感覚的対象・感覚的性質)」が問題となるのかが明解に示される)。後半では、芸術とは「現実的対象」と「感覚的性質」の間に現れる緊張(カントはそれを「魅力」と呼んだ)にかんするものであるとされ、あらゆる芸術の基礎となる(と、ハーマンが考える)「比喩(隠喩)」の、…
●午後から、ChatGPTに翻訳してもらいながらハーマンの『Art and Objects』のつづきを読んでいたのだが、やけに重いなあと思っていて、五時くらいになったらとうとう、何を聞いてもまったく何も答えてくれなくなった(もうちょっとで第三章を読み終えるのだが…)。おそらく今、爆発的な勢いで使う人が増えているのだろうと思いながら、諦めて椅子から立ち上がり、本棚から紙の本(フリードの『没入と演劇性』)のを取り出して読むなど(紙の本は脱去しているのでネットワークの影響を受けない)。 七時過ぎに試してみたら復活していた。第三章「Theatrical, Not Literal 」を読み終える。一つの…
哲学がしたい人のためのセーファースペースが必要だ 哲学したいと思う人たちが理不尽に排除されたり、「ここは自分のいる場所じゃない」と思って立ち去らなくてよいようになっていてほしい。 私は最近このような問題意識をもっているのですが、そのような考えに至った直接の背景に、Minorities & Philosophy イギリス支部(MAP UK)が作成された「Safer space policy/ Inclusion policy」(2021年3月バージョン) drive.google.com と、 そのホームページの中にあるブログで、Rosa VinceさんとAnna V. Klieberさんによっ…
「社会正義」はいつも正しい: 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて作者:ヘレン・プラックローズ,ジェームズ・リンゼイ,Helen Pluckrose,James Lindsay早川書房Amazon 本書はアメリカのアカデミアで吹き荒れる行き過ぎたポリコレ,アイデンティティ・ポリティクス,社会正義運動,キャンセルカルチャーがどのような思想的な流れの上に発生したものか,代表的な議論はどのようなものか,そしてこれに対抗するにはどうすればいいのかを語る本になる.著者たちはこれらの運動の基礎にあるのは1970年代に一世を風靡し,その後その非生産性とシニカルさから衰退していったと思われ…
某年某月某日、私が勤務している某社に社内図書館なるものができた。 どんな本があるのかと、蔵書リストを見てみると……。 技術書:まぁ必要よな。 実務書:まぁ必要よな。 自己啓発書:なんか知らんけど大量にあるぞ 人文・社会科学系の本:そんなものはない。あるとしてもしょうもないのが少々。 自己啓発ばっかやんけ!!!私が読みたいと思うようなものは、当然ない。 ならばどうするか? 私の本棚に眠っている、読んだ本や読んでない本や途中で投げた本や買わなくてもよかったかもと思う本を、いくらか寄贈してやろう。この混沌とした自己啓発書の山を、何の役にも立たない人文・社会科学系の本の光で照らしてやるのだ。 ……とい…
※ネタバレが当然ながら含まれるのでご注意ください。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめに やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結 2 (ガガガ文庫) 『俺ガイル』は「言葉」をめぐる物語だ。 『結2』を読み終わったいま、改めて、胸を張ってそう言える。「自分だけの「言葉」を探す物語」、そうまとめられた Final シーズンの変奏が『結』シリーズであると、今巻を通じて、改めて確信した。 まとめれば、(『結1』の感想・考察で書いたように)『結』シリーズで期待されるのは、無印本編で述べられていた結衣の信条、つまり、「言わなきゃ…
▼DXからQXへ(ブログの枕の前編) 前々回及び前回のブログ記事では今年の干支である卯(兎)をモチーフにして、金烏玉兎のコンセプトとデザインの話しから、古典的な暦と時間の話しを経て、革新的な光格子時計と相対性理論の話しへと飛躍しましたが、その蛇(兎)足として、新年に相応しく明るい近未来の展望を示す現在最もホットな第二次量子革命によるDX(デジタル変革)からQX(クオンタム変革)への飛躍に触れてみたいと思います。QXに応用されている量子力学は、1905年にアインシュタインが光量子仮説(金属に光をあてると金属の内部にある電子が光のエネルギーを吸収して金属の外部へ飛び出る光電効果から、光は波であると…
詩人吉岡実に、舞踏家土方巽についての『土方巽頌――<日記>と<引用>による』という書物がある。その「補足的で断章的な後書」によれば、 《「土方巽とは何者?」誰もがそう思っているにちがいない。この人物と二十年の交流があるものの、私には「一個の天才」を十全に捉えることは出来ないだろう。そこで私は自分の「日記」を中心に据え、土方巽の周辺の友人、知己の証言を藉り、そして舞踏家の箴言的な言葉を、適宜挿入する、構成を試みた。まさしく、「日記」と「証言」に依る「引用」の『土方巽頌』である。》 その方法にならい、吉岡実の詩、散文や討議・対談の発言を「引用」して、「吉岡実とは何者?」に少しでも迫ってみたい。吉岡…
●伝説の映画監督 もうずっと以前、たぶん30年近く前から(つまり、彼が30代そこそこの頃から)、「ゴジ」こと長谷川和彦は、すでに「伝説の」映画監督だった。当時の若い映画ファンにとって、彼の映画はスペシャルだった。巨匠による古典とか、しかつめらしい思想映画や芸術映画といった、お勉強して理解する類の「名作」ではなく、かといって定番の娯楽映画でもない。リアルタイムの若者の気分に直に刺さる、「ポップで尖っててカッコイイ」映画の元祖であり代表、という位置をずっと占め続けてきた。戦後生まれで初めて芥川賞を取った同年の小説家、中上健次による短編『蛇淫』を原作に、うるさい両親をブチ殺す青年を描いた『青春の殺人…
1. 批判と異論の区別 批判とは既存の主張について、その事実認識や論理展開の誤りを指摘すること。一方で、異論とは既存の主張とは別の主張を上げること。 2. 具体化と抽象化 ある主張について、それを具体的な事例に当てはめてみる。あるいは抽象度を挙げてみる。 3. 限定化と一般化 ある主張について、主張の適用範囲を見定める。一般化可能性を考える。逆に過度な一般化が行われていないかをチェックし、適切な限定化を試みる。 4. 二項対立の発見とその解消 ある主張について、それがどのような二項対立をベースにしているかを考える。その上でその二項対立を乗り越える方法がないかを考えてみる。 あるいは、別の二項対…