最近、街を歩いていると、人にぶつかっても平気で無視して歩き去る人が多くなったように感じる。これは道端のお地蔵様に当たって素知らぬ顔で逃げるのと、同じくらいに無慈悲かつ一方的な行為ではないかと思っている。とりわけ、必死で水平を保ちながら慎重に買った和菓子やケーキを持ち帰る際に、後ろからドンとぶつかられ、挙句にバサッ!っとお菓子の入った手提げ袋にまでダメージを与えられたとなったら、思わず襟首掴みたいくらいの怒りを覚える。 食べ物の怨みとは、それほどのものなのだ。しかし、そんな怒りを露わにすることは、もうない。私も50を越えた立派な中年だ。ここで大声を張り上げたりしたら、頭のおかしい人扱いされるのは…