佐々木卓也著『アイゼンハワー政権の封じ込め政策―ソ連の脅威,ミサイル・ギャップ論争と東西交流―』(有斐閣、2008年)を読み終わったので、忘れないうちに感想を書いておきます。 本書はアイゼンハワー政権の封じ込め政策を歴史的な手法で明らかにするもので、特にアイゼンハワー政権が軍事・経済的な封じ込め政策というよりも文化的な封じ込め政策を行っていたことに力点を置くものです。 アイゼンハワーは大量報復戦略でよく知られていますが、その背景にはアメリカはソ連を充分に抑止するだけの核戦力を持っているという認識がありました。しかし、その背後にはソ連との冷戦が長期間にわたる戦いであると踏んだ上で、兵営国家になる…