近所をうろうろしていると、空き地のまわりに、緑色ののぼりがそこらじゅうに立てかけてあった。 近づいて読む。「レンタル農園はじめました」。 どきっとした。レンタル農園。なんてすてきな響き。それまで野菜を育てたいと思ったことなんて一度もなかったのに、「これだ、わたしに足りないのは土だ」と確信した。 歳をとると、土着的なものに帰りたくなるというか、土に触れたい欲求が高まるのかもしれない。定年後に土いじりをはじめる人の気持ちが、このときようやくわかった気がした。 毎朝畑の様子を見に行っては収穫しそれを食べるという妄想が止まらない。小一時間妄想したあと調べてみると、レンタル料が月8,000円だった。検討…