近畿日本鉄道の特急用車両のうち、2階建て車を連結しているもの。
標準軌線にのみ存在し、主に大阪・京都と奈良・伊勢志摩・名古屋を結ぶ。
1958年に初代10000系が、翌年1959年に2代目10100系が運行を開始、
1978年に3代目30000系が誕生、その年のブルーリボン賞を受賞。
1996年には3代目をリニューアルした「ビスタEX」も誕生。
世界初の2階建て高速列車として鉄道史に名を残している。
なお、団体専用車の「あおぞら」20100系(既に廃車)及び「楽」20000系も、2階建て車であるため、ビスタカーに含まれる。
1958年(昭和33年)、7両編成1本が製造。
ビスタカーの試作車として位置づけられる。
先頭車は2枚窓の流線型。
3両目と5両目が、4両目と連接構造のダブルデッカー(ビスタドーム)となっており、貫通型運転台を備える。
需要に応じて5両での運用も可能。
近鉄特急としては最初の高性能車でもある。
増備はされず、1971年(昭和46年)に廃車。
10000系の実績を元に、1959年(昭和34年)から製造。18本54両が製造された。
1960年(昭和35年)2月から予定されていた、名古屋線標準軌化・名阪直通特急運転開始を前に製造された*1。
本格的なビスタカーとして位置づけられる。
連接式の3両固定編成で、中間車がダブルデッカーであるが、編成内容によりA編成・B編成・C編成の3種類が存在する。
A編成とは、大阪寄り先頭車が非貫通でパンタグラフ付、名古屋寄り先頭車が貫通式となっている編成で、5本製造。
B編成とは、大阪寄り先頭車が貫通式でパンタグラフ付、名古屋寄り先頭車が非貫通となっている編成で、5本製造。
C編成とは、大阪寄り先頭車が貫通式でパンタグラフ付、名古屋寄り先頭車が貫通式となっている編成で、8本製造。
非貫通の先頭車は2枚窓の流線型だが、10000系より丸みを帯びている。
近鉄のみならず、昭和30年代の日本の鉄道の看板的存在であり、「名車中の名車」とされる。
名阪特急のみならず、伊勢志摩方面の特急にも使用され、他系列との混結も見られた。
1979年(昭和54年)に全車引退、廃車。引退直前の1978年(昭和53年)には、引退を記念して、「A編成+C編成+B編成」の、いわゆる「3重連」が走り、大きな話題となった。
10100系の後継車として、1978年(昭和53年)から製造された系列で、4両編成15本の60両が在籍。
主に伊勢志摩方面への観光輸送をターゲットにしている。
連接構造をやめ、4両固定編成となった。中間の2両がダブルデッカーとなっている。
先頭車は貫通型で、他系列との混結も可能であり、実際に、ごく当たり前に行われている。
1996年(平成8年)より、大幅なリニューアル工事が実施された。特にダブルデッカーは、天井を新たに作り直し、大型曲面ガラスを使用するなどの改造が行われている。
リニューアルされた編成は「ビスタEX(ビスタエックス)」の愛称が付けられている。
2000年(平成12年)までに、全編成が「ビスタEX」となった。
2010年からはダブルデッカーの階下席を通常席とは異なる団体専用のシートとする改造工事や座席や内装の刷新を含むリニューアル工事が順次行われた。
2016年より近鉄特急の新塗装に順次切り替え。
*1:1959年(昭和34年)9月26日の伊勢湾台風で、名古屋線が大被害を受けたが、復旧と同時に標準軌化が実施され、当初予定より3ヶ月早い1959年(昭和34年)12月12日から、名阪直通特急の運転を開始している。