腹をすかせたロバが居た。 ロバは横着ものであった。彼には今ありつけそうな馬草の山が2つあるのを知っていた。彼は少しでも大きい方にありつきたかったので、少しばかり遠かろうがそちらに行こうと考えていた。そうすれば一度たどり着けば少しでも多くゆっくりと過ごせるものだ。ところが馬草は全く同じ大きさのようなのだ。 それならばとロバは考え直す。どうせ量が同じならより近い方へ行こうじゃないか。そうすれば労力を少しでも減らせるというもの。 ところがロバを中心にしてちょうど正反対の位置にそれぞれ馬草は置いてあるようだった。 量も同じ、距離も同じ。ロバはどちらに行けばいいのか悩んだ。 ある日通りすがりの旅人が飢え…