『暁の宇品』(堀川惠子・講談社・2021)という本を読みました。宇品というのは広島市南部の港がある地名で、暁というのはそこに駐在した陸軍の船舶部門の通称です。本書は満州事変当時トップであった田尻司令官および終戦時トップであった佐伯司令官について多くの頁を割きつつ、簡単に書けば宇品から見た大正期から終戦時までの陸軍の海運部門に関する歴史です。どんな人がここを読んでいるかわからないので・広島へ行ったことがない人も多いと思うので、念のため書いておきます。広島にはかつて陸軍の(『黒い雨』の主人公が関係する)被服支廠や糧秣廠があり、加えて宇品には陸軍の自前の桟橋があり、そこから船に兵士や物資を載せていま…