2024年5月に発売された『All That Glitters: A Story of Friendship, Fraud, and Fine Art』は、著者オーランド・ウィットフィールドが学生時代から15年にわたる友情を築いたイーニゴ・フィルブリックと、その後彼が引き起こした巨額美術詐欺事件を描いた回顧録であり、犯罪ドキュメンタリーとも言える一冊である。 ウィットフィールドとフィルブリックは、ロンドンのゴールドスミス大学で美術史を専攻する学生として出会った。2人はともに裕福な家庭環境で育ち、美術界に強いコネクションを持っていた。ウィットフィールドの父親はクリスティーズで働き、フィルブリック…