タル・ベーラ監督による1977年作『ファミリー・ネスト』について。 国家の比喩としての家族 3つの家族が住む家があり、その家を共産主義国家であるハンガリーの比喩とする。父は実質的な権威は失われていて家庭内の問題を解決することもできない。そして、その権威と崩れゆく家を抑圧的に維持しようとする。が金がないため接着剤で補修するしかない割れた国章のイメージによってその父のハリボテさが国家に繋げられる。 それに対して、強制的に国家とされ、国家やその制度に抑圧される民族や新しい世代の人々として息子達やその嫁がいる。その抑圧は家の外で発散するしかなく、それが国家内や世代内での内紛に重ね合わされる。 内部の人…