Funkadelic
もともとはジョージ・クリントンを中心とするパーラメントのバックバンドとしての位置付けであったが、契約の問題でパーラメントとは別ユニットとして活動した。実質的メンバーはパーラメントと同じ。ジミ・ヘンドリックスに影響を受けたサイケ・ギターサウンドを前面に押し出し、ブラック・ロックの先駆けとなった。
ラスト。基本的に重いです。10分近くある曲がざらにあるなんてのは、やはり特殊なことだと思います。ファンカデリックは器楽中心だったので過去にもそうした曲はありましたが、ここではやはり少し冗長な気がします。でも緊張感は途切れない。だから重くなるんですね。 とはいえ1曲目の「Catchin' Boogie Fever」でのウネウネぶりはやっぱり魅力的ですし、4曲目の「Where Would I Go」なんかでの不気味なカオスの中でのギターの鳴りっぷりにもやっぱり抗えない。強烈なグルーヴよりも静かなうねりを感じる瞬間が多かったように思います。でもギターの音はもっとフィーチャーしてもいいんじゃないかなあ…
2枚目。とにかく曲が全体的に長い!収録時間も70分越えで濃密です。聴いていると目眩がしそうになります。 グルーヴでグリグリ押してくるタイプの曲が少なくてエレクトリックなので若干冗長に聴こえる瞬間もあるんですが、そこはそれ、Pファンクの混沌がすべてを補ってくれます。具体的にはコーラスの魅力だと思うんですが、これにギターも炸裂する「jolene」のような曲は聴いていて飽きないし、往年のファンカデリックを思い起こさせてくれて痛快です。 ゲストが豪華なので曲毎の参加ミュージシャンを見ながら楽しめるのも粋なところです。メイシオ・パーカーやフレッド・ウェズリーの名前があったり、ブーツィー・コリンズやバーニ…
マイミクさんの呟きで知ったファンカデリック33年ぶりの新作。恐るべきことに3枚組33曲ということで、一体何事が起こっているのかと恐る恐る聴いてみました。 驚かされるのはスライ・ストーンの参加ですが、1枚目では4曲程味わうことが出来ます。その内2曲は10分近くあって、どこをとっても過剰なボリューム。ただ、聴いていると冗長な感じはなく、むしろヒンヤリとした感覚に襲われます。とても冷たい。そしてストイックな感じですね。ファンクとして前に押してくるのではなく、じわりと迫ってくる。『暴動』以降のスライにある狂気が標的を定めてこちらを狙っている気がします。 ファンカデリックなのでギターサウンド爆裂かと思い…
長かったファンカデリック再発シリーズもこれで終わり。最後はPファンク絶好調の76年リリース、8作目となる。 ここまで来るとファンク色はすっかり定着していて、「ホーンのないパーラメント」みたいな曲も含めて安心して聴ける。キーボードの比率が増してきたのも特徴かな。パーラメントのアルバムで聴いたようなフレーズも続出しているが、何つっても76年という年はパーラメント名義で2枚もアルバムを出して、その後アースツアーに突入という時期だから当たり前と言えば当たり前か。同年にはファンカデリックはワーナーに移籍してもう1枚アルバムを出してしまうという凄いことに。それにしてもファンカデリックの紙ジャケ、なんて騒い…
75年リリースの7作目。買い直しだが非常にいい。1曲目から飛ばしてくれている。 それもそのはず、この頃はパーラメントとの本格的な活動が始動した年で、同時にブーツィーのバンドも一緒に録音されていた。そして『マザーシップ・コネクション』がこの年に出る訳で・・。悪いはずがない。タイトル曲はアース・ツアーでも演奏されていたし。 『No Head, No Backstage Pass』や『Stuff and Things』もカッコよくて大好きだが、『Get Off Your Ass and Jam』のシンプルなリフにやられてしまう。 それにしても死人みたいな不気味なジャケットだが、内容の方はポップ極まり…
74年リリース6作目。この年から本格的にパーラメントとの二刀流が始まる。このアルバムは全面的にエディ・ヘイゼルが活躍していて痛快なギターサウンドが楽しめる。 1曲目も2曲目も「もう終わっちゃうの?」と思う程もったいない音が展開される。この辺もオンエアを狙ってのもののようだが、ライブでは長く演奏したんだろうなあ。コーラスワークとファンキーなリズム、そしてギターが絶妙のバランスで同居していて、しかもポップ。音も聴きやすいし、この辺の時期のファンカデリックは本当に聴きものだと思う。 タイトル曲もほんとにカッコいいなあ。基本リフで持っていくスタイルだが、コーラスとの絡みが入ると本当にグッとくる。
買い直しなので今年2回目のレビューとなってしまったが、これはいいアルバム。73年リリースなので、パーラメントとファンカデリックで使い分けていく直前の作品となる。そのためパーラメント色が比較的強い感覚。 オンエアを狙ったというジョージ・クリントンの志向も反映されて音はポップ度が増し、難解さはどこへやら。曲も比較的コンパクトだし、ジャケットのインパクトと合わせてまさに絶頂期直前の雰囲気だ。前回も書いたが1曲目の『Nappy Dugout』で既にノックアウトで、2曲目の『Do That Stuff』原曲で降参。ギターの音は比較的控えめで、ロック色よりもむしろファンク度が強い。 B面にいくとタイトル曲…
バーニー・ウォーレル以外全員がいなくなってしまった後のファンカデリック72年リリース4作目はきらびやかな演奏から始まる。1曲目からまずはカッコいい。その演奏は途中で何度も趣を変えるが、とにかく音がスッキリしてきているし、何よりファンキーだ。 ブーツィー・コリンズをはじめとした元JB組が大挙押し寄せ、総勢30人以上のメンバーで繰り広げられるこの2枚組は実は買い直しだが、あまり聴かなかったのは77分というボリュームからだろう。でも聴かなくて損した、というくらいいい感じだ。パーラメントとファンカデリックの二刀流になるのはこの2年後からだから、目一杯要素が詰め込んであるが、何より相次ぐメンバー脱退にく…
そして71年リリースの3rd。これは来た! なるほど名盤。『Super Stupid』は実にカッコいい。冒頭のタイトル曲は延々とエディ・ヘイゼルのギターソロが続く。しかもほぼ伴奏なしで。これは元々バンドで演奏していたものを、余りにギターが突出していたから後でバンドの音を抜いたものだそうだが、これで10分ですよ。そしてエディ・ヘイゼルはドラッグのやり過ぎで戦線離脱して、その他メンバーも相次いで脱退。次作からブーツィー加入で立て直し、という物凄い運命を辿る。その直前の奇跡のようなバランスのアルバムだ。 全体的に前作までの混沌がとれて、音がスッキリしてきている。そうするとリフのキャッチーさやリズムの…
同じく70年リリースの2nd。わずか数時間で録音されたというその音は混沌の極地で、とても朝イチに聴くような音楽ではない。 1曲目から10分くらいあって、激しく音が左右に揺れる。ギターやキーボードの音もエッジが鋭くて、とてもではないが初心者向けとは言えない。曲自体は結構とっつきやすいフレーズがあるので、これはアレンジで損をしてそうな感じだ。毎回ザッパと比較するのも何だが、やっぱり初期のタイトルを聴いた時の「何じゃこりゃ」という感覚に似ている。ザッパの場合もその奥からキャッチーなフレーズが滲み出てきて、聴くにつれて親近感が増していくんだが、これはどうかなあ。普通にやっとけばかっこいいのに、との第一…
音楽17 クラシック・ソウル その1 演歌の製作スタッフは、音楽的センスも技量もないと思っていた。毎度毎度、さらに毎度おなじみのイントロと曲調と歌詞で、やはり毎度おなじみの節回しで歌うものを「新曲」として発表する。工夫というものがないのか。だからと言って、流行のリズムを取り入れろとは言わないし、美空ひばり(彼女は演歌歌手ではないが)の「真っ赤な太陽」のようなみっともない歌に仕上げてくれと願っているわけではないが、もう少し何とかならないか。 そんなことを考えて、フト思いついた。私はソウルとかR&Bと呼ばれるブラックミュージックが大好きなのだが、時代的には70年代あたりまでで、マイケル・ジャクソン…
2014年3月マ日 荒井由実の名曲に『海をみていた午後』がある。この歌詞の中に「山手のドルフィン」という店が出てくるが、これは架空の場所ではなく、神奈川県の山手と根岸の間に実在するレストランだ。中川右介の『角川映画』を読んでいたら、そのドルフィンのオーナーが山川惣治だという記述があって飲んでいたお茶を吹きそうになった。そう、あの『少年ケニア』の山川惣治である。 紙芝居作家だった山川は『少年タイガー』を大ヒットさせたあと、同じく紙芝居だった『少年王者』を集英社から単行本として刊行した。その大ヒットが集英社の漫画出版事業の基礎を築いたとされている。一時は長者番付で画家部門の1位になったこともある山…
こんにちは。今回は2004年のデビューから現在に至るまで、20年来に渡ってシーンの第一線で活躍を続けてきた稀有なイギリスのバンド、Kasabian(カサビアン)の「Call」の歌詞と和訳の紹介です。 Kasabian(カサビアン) ▲ソニーミュージックオフィシャルサイトより 1997年にイギリスはイングランドのレスターにて、Serge(サージ)ことギタリストのSergio Pizzorno(セルジオ・ピッツォーノ、写真右から2人目)、ボーカリストのTom Meighan(トム・ミーガン、2020年に脱退)、ギタリストのChris Karloff(クリス・カーロフ、2006年に脱退)、ベーシスト…
【木曜はオルガンいろいろ】アセンブリージのロビン・ロビンスのこと アセンブリージなんてバンド全く知りませんが、ここでオルガン弾いてるロビン・ロビンスは、ボブ・シーガーのシルヴァー・バレット・バンドに加わったそう。このユニークなアレンジの”Satisfaction”はもちろんストーンズのカヴァーで最初と途中にインパクトあるオルガンが聞かれます。自分たちの色を出してやろうとアイディア勝負だった時代、これはこれで十分イケてると思います。70年にアルバム1枚で消えたデトロイトのバンドですが日本盤LPとシングルが日コロから出ておりました(という昔の今枝さん情報)。Janusからとなってますが、調べるとフ…
オールタイムと名乗ってますが95年までなので古いです。多分2000年位に書いた文章。でもどのアルバムも今でも好きかな。順番は聴いた時期順です。古いアルバムでも聴いた時期が新しければ後半になります。というわけで。 1 佐野元春『バック・トゥ・ザ・ストリート』 中学生の頃サウンドストリート経由で好きになりよく聴きました。情けない週末とか好きだったな。サムデイの時のツアー(札幌公演)が多分僕のライブ初体験。 2 RCサクセション『ラプソディー』 同時期にハマってたのがRC。これとかブルーが好きでした。後期だとカヴァーズか。 3 T.レックス『グレイテスト・ヒッツ』 洋楽で初めて好きになったのはなんだ…
「ロシア宇宙主義」「アフロフューチャリズム」「サイバースペース論」という三部構成で、近代や資本主義を脱しようとしたユートピア思想を概観していく。 SFマガジンでの連載をまとめたもの。 木澤佐登志の著作は以前から多少気になってはいたものの、自分の興味関心の中ではそれほど大きくなかったことと、何となく取り扱っている内容のあやしさを警戒して*1手を出していなかった。 今回、宇宙主義が取り上げられているということで、読んでみることにした。 とはいえ、もう少し宇宙主義以外の文脈もある。 読むまでの経緯とか 手に取ったきっかけ ロシア宇宙主義に以前から興味があったというのは、桑野隆『20世紀ロシア思想史 …
ランキング参加中音楽 2021年(もう2年以上前になるのか)に20世紀ロック名盤100を選び、楽しかった。またこういうものは関心が高いようで、当弱小ブログの中ではいまだにアクセスがある記事である。 funkenstein.hatenablog.com で、いつかブラック・ミュージックでもやってみたいなと思っていたのだが、少し考え始めて、ロックのようにはいかないことに気づいた。元々カテゴライズの問題があるが、そこは米国R&B~ソウル~ファンクを中心に周辺に範囲を拡大してというオーソドックスな歴史観でということで実はそんなに悩まなかった。 むしろ問題は、アルバム単位で聴いた記憶がない名曲が結構多い…
世界 2023年12月号 岩波書店 Amazon 今回は20世紀以降のアメリカ合衆国のブラック・ミュージック、つまりジャズ、ゴスペル、R&B、ソウル、ファンク、ヒップホップについて。 ブラック・ミュージック、といったとき日本人がまず頭に浮かべる音楽ですよね。本文中に綺羅星のごとくミュージシャンの名前がちりばめられていて、ゴージャス! ブラック・ミュージックファン必読ですよ。 ブラック・ミュージックの隆盛を、アフリカに伝わる「未来は過去から生み出される」という箴言と、「変わりゆく同じもの」という性質を肝に概観しています。 「未来は過去から生み出される」「変わりゆく同じもの」というのは、ブラック・…
ランキング参加中音楽P-FUNK作者:河地依子河出書房新社Amazon『P‐ファンク・・・って何だ!?』とお決まりのご挨拶である。 えー、これは大してP-Funkファミリーともいえない(まあ一緒に仕事はしていたが)ファンクグループ“ザップ”のロジャー・トラウトマンのソロデビュー作につけられた謎の日本タイトルである(原題The Many Facets of Roger)。 このように説明するとなんとも味気ないものだが、とにかくいろいろ出鱈目なタイトルがつけられていた時代である。 閑話休題。 P-Funkってなんだろう。P-Funkについて詳しい丸屋九兵衛氏によると「ジャンルであり、クルーであり、…
原恵一監督の『かがみの孤城』の評判が良いみたいなんで視聴したんすが、私的には普通の良作って感じでした。原恵一監督のアニメ作品を観る時は『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』に並ぶくらいの名作をいつも期待するんすが、残念ながら『河童のクゥと夏休み』以降のアニメ作品で凄い面白いと思った作品は無いです。なんか物足りないんすよ……全て『クレヨンしんちゃん』にすればいいのに。うそ 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』について書い…
hikonoir.hatenadiary.com 漫画教室に興味がある方は、上のバナーをクリックお願いします。 只今、10/05㈭午後10時14分。 今回は、エディ・ヘイゼル。 [http://:title] 伝説のギタリスト。 Pファンクの創世期より加わった重要人物。ファンカデリック、パーラメントに参加。 しかし、薬物違反で牢屋へ…。その後42歳という若さで他界した。 ジミヘンの後継者と噂されるほど、彼のプレイは相当なものであった…。 Pファンク一派は、一時期隆盛を誇りました。 僕も嫌いじゃないです。っていうか、スキな方。 ま、ただ…想像ですが、この界隈、裏社会というか、黒人社会の闇みたいな…
2023-8-13はてブ公開 お題「夏に聴きたくなる音楽と言えば」 あーなるほどね、夏と言えばTHE TUBEだ。 そういえば、行きつけのスパゲッティ屋(パスタと称しないのがポリシーなのだろう)では70年代のファンク・ソウル(で合ってるのかな? ジョージ・クリントン率いるファンカデリックとかそういうの)が良くかかっている。 それ系なら私は Ain't That a Bitchジョニー・ギター・ワトソンR&B/ソウル¥204provided courtesy of iTunes かなあ(1976年発表) アッ急に全然違うのを思い出した! Out of This World (1994 Live …
Rough Notes (English Edition)作者:Thomas, BruceAmazon 1979年、コロンバス事件と「Get Happy!!」の頃。 CHAPTER 13 Down in the Pipe THE 'ARMED FUNK'ツアーは、1年間で4回目のアメリカ訪問となった。オレゴン、カリフォルニア、アリゾナ、テキサス、アラバマ、ジョージア、カンザス、ミズーリ、ウィスコンシン、イリノイ、インディアナ、テネシーと、前後左右、上下左右、ぐるぐると、いろんな意味で追い立てられたいた。それは、どこででも起こりうることだったのだ。しかし、ミシガン、ケンタッキー、ニューヨーク、ロ…