[Edmund Husserl]1859年〜1938年 現象学的哲学を確立したオーストリア出身(フッサール出生当時はオーストリア帝国、現在はチェコに属しているモラヴィア地方東北部プロチョエフ(ドイツ語では、プロスニッツ)という町で生まれる。)のユダヤ系ドイツ人。哲学以外にも人間を対象とする科学全般に大きな影響を与えている。
愛称「フッ君」
デカルト的省察 (岩波文庫)
*リスト:リスト::学者
現象学的還元とは、哲学における方法論の一つであり、現象学を創始したフッサールによって確立されました。現象学は、意識のあり方を直接的に考察する方法論であり、現象学的還元は、その方法論を実現するためのための第一歩です。 現象学的還元は、自然的態度から超越論的態度への転換を意味します。自然的態度とは、日常生活において、私たちが当たり前のようにとっている態度であり、世界は存在し、その存在は私たちにとって客観的なものであると信じています。一方、超越論的態度とは、世界の実在性について判断を停止し、純粋な意識のみを対象とする態度です。 現象学的還元は、以下の2つのステップから構成されます。 エポケー(Epo…
■以前の記事「研究日誌(2022/3/19)フッサール他者論、リシールの空想身体論、ファンタシアを経由して間身体性へ?」で、坂本(2021)の次の文章を引用しておいた。 「フッサールは「知覚的空想(perzeptive Phantasie)」という概念を導入する(ⅩⅩⅢ, Text Nr.18)。これは矛盾した概念ではない。この概念における「知覚」とは像物体のWahrnehmungではなく、像客体のPerzeptionであり、後者は実在を措定しない、いわば中和化された知覚だからである。リシールによれば‥‥」(p.134) 「他者身体の構成は、像意識とは別の準現在化作用である「知覚的空想」の働き…
懐疑主義と新しい思想 ~価値観を疑うことによって崩し、生まれる新しいもの デカルト哲学と分解と数学化 【フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』,デカルト『方法序説』】 懐疑主義者デカルト フッサールと懐疑主義 【フッサール『イデーン』,セクストス・エンペイリコス『ピュロン主義哲学の概要』】 懐疑主義の批判 既存の価値観を疑う懐疑主義者により起こる思想的革命 前回のお話 waka-rukana.com 懐疑主義と新しい思想 ~価値観を疑うことによって崩し、生まれる新しいもの デカルト哲学と分解と数学化 フッサールはヨーロッパ諸学における数学的世界に対抗するために体験を軸とした現象学を…
現象学とヨーロッパの学問の数学化と失われる統一的人間観 現象学の問題意識 【フッサール『論理学研究』】 ヨーロッパの学問と数学化 【フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』】 人間が数字化されて物扱いになっていく 【マルクス『経済学批判』】 部品の集まりとしての人間観 【フッサール『デカルト的省察』】 前回のお話 懐疑主義のエポケー/思考停止を用いる現代的な哲学である現象学とは - 日々是〆〆吟味 現象学とヨーロッパの学問の数学化と失われる統一的人間観 ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 (中公文庫) 作者:エドムント フッサール 発売日: 1995/06/01 メディア: 文庫 …
■タイトルの通りです。論文名は"The sleeping subject: Merleau-Ponty on dreaming", by James Morley, in Theory & Psychology, Volume 9, Issue 1,1999. https://doi.org/10.1177/0959354399091005 この著者のものは数年前の「他者になる夢の現象学的解明」という論文でも引用したことがある。それはともあれ、該当部分を引用する: " ......Our waking relations with objects and others especially h…
■『精神破壊:うつ~統合失調症~入院~回復までの道のり』(守門丈・守門紀著、東京図書出版、2018)を読む。 「‥‥子供の友達を泥棒と思い込むのは毎度のことであり、‥‥妻にとっては仕方のないことかもしれない。現実の記憶と想像したことの区別がつかないのだから。」(p.40) 「妄想の出るパターンはきまっており、朝起きた時「夢」がそのまま妄想になることや、今のパートで品出しの仕事中に物思いにふけり、それがそのまま妄想になるパターンである。」(p.44) 「‥‥最近気になる症状は、自分が想像したり勝手に作り上げたりした現実には起きていない妄想が現実の記憶と混同され、それを理由に人を恨んだりしているこ…
読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読んだ。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 フッサールとハイデガー、ベルクソンの章を読んだ。 1ページ1ページの密度が濃いのでやや疲れてしまった。 「主体/客体」の二分法に囚われたフッサールの転倒について「気の毒だ」と池田氏は語る。 ハイデガー『存在と時間』については、ねちねちしていてると語るが、読んでみるとフッサールとは違い、その思想の深みが伝わった。 ロゴ…
Encyclopedia of the Philosophy of Law and Social Philosophy(『法哲学・社会哲学百科事典』)という事典 link.springer.com にフッサールについての項目 link.springer.com を書きました。いまのところオンラインでしか読めないのですが、どうやら来年には印刷版が出るようです(高額なので項目執筆者には貰えないやつでしょう)。また、今後もこの項目を改訂できる(改訂することが求められている)という話も聞いています。それはともかく、フッサールの社会哲学について日本語で読める文献はあまりないので、この項目について、裏話め…
読んだ本: 引用元:版元ドットコム つづきをよみすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 内容はハイデガーと認知に移った。 今までの文脈を追わないとついていけない内容であった。 従って、本書はゆっくり、かつ丁寧に読まなければおそらくほとんど内容は頭に入ってこない。 フッサールは言語とは別の領域に意味があると考えた。 それをハイデガーは打破した。 イーグルトンによれば、ハイデガーは、言語には固有の「領域…
読んだ本: 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 哲学科の大学院(修士)を出た知り合いにすすめてもらい読んだ。 本書は同志社大学大学院文学研究科「古代哲学史特講」を文字に起こしたものとなっている。 年間30回分もの講義が本で読める。臨場感が伝わり、大学院に行きたくなるほどであった。 本書はハイデガー研究の第一人者による講義となっている。 第一回を読み終えた。 ソクラテス、プラトンが絶対的、世界的に権威を持っていることに対する批判的なもの…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 ああ、もっと若い頃から しっかり勉強しておけば良かったな。 年を取れば取るほどに こういう分野って増えますよね。 私なんぞはもうそういうものばっかりで 遅ればせながらいい年をして勉強してますけど、 まあ、それもある意味ではご縁かもしれませんけど もっと早く学び始めれば もっと奥深く行けたのかな…とか、 そんな気持ちはなくはないです。 そのひとつとして 最も大きいのが「哲学」です。 昔からわりと興味はあったんですよね。 それこそ学生時代にも 何冊か読んではいるのですけど 当時はどう…
科学的根拠への疑い。世の中には色んな論説が溢れている。どの論説も「私の論は科学的な根拠と正確な理論に基づき導かれたものだ」と言う。しかし、対して反対意見を言う方でも同じことを言っている。じゃあどちらが正しいのですか、と、決めるのは何だ。現実か?宇宙船の写真が撮れたら、宇宙人はいる、正しいか?そうでなく、たくさんの人がその宇宙船を見たんだ。正しいか?本当に? どう思いますか。 議論は、科学的妥当性を主張する。この文章だってそう。何かを説明しようとするとき、というのは、相手がそれについてあまり知らないところに、納得してもらおうとする限り、根拠と理論の妥当性を求めることになる。 昨日、野球選手のYo…
こんにちは、そんぽです。 今日は何を話そうか、15分ほど考えましたがなかなか決まりませんでした。なぜ思いつかないのかと考えてみると、以前はブログを書くという意識のもとに生活をしていたのですが、最近はその意識も薄れ、いわゆるネタが尽きたのかもしれません。 このブログは、毎日書くことを目的に始めました。毎日ブログを書くという課題を自分に課すことで、日常の中で新しい発見をする動機づけになると考えたからです。 私は、これまでの人生で日々新しいことを発見する喜びを感じてきました。しかし、日常のルーチンに取り込まれると、新しい発見から目が離れてしまうことがあります。そこで、ブログというルーチンを通じて、日…
とくに、書くことがない、ということからはじめたくない。しかし、書くことはない、その書きたいという欲だけはある。そんなに、うまく書けないけれど。 書くことについて、エクリチュールとか。そういうことについて、読んだりした。読んだりしていた。 もう書く気があんまり起きない。詩でも書きたい。まだ、フォームというか、エクスキューズなしで書くことがない。というか出てこない。なにか、書きたいことはあるのだろうけれど。 書きたいのに、書くことがない。したいのに、したいプレーはない。そういう変なことはおきる。内容ではなく、ただしたい、と。だったら、とりあえず書けばいい。書くことが、したいのだから。内容など関係な…
当ブログで紹介している哲学者一覧です。 タップすると、その哲学者の解説ページにジャンプします。 古代の哲学者 孔子(紀元前551 - 紀元前479) 墨子(紀元前470頃 - 紀元前390) ソクラテス(紀元前470頃 – 紀元前399) プラトン(紀元前427 - 紀元前347) アリストテレス(紀元前384 - 紀元前322) 孟子(紀元前372 - 紀元前289) エピクロス(紀元前341 – 紀元前270) 荀子(紀元前313 - 紀元前238) アウグスティヌス(354 - 430) 中世の哲学者 トマス・アクィナス(1225 - 1274) ウィリアム・オッカム(1285 - 13…
ハルムスの世界 (白水Uブックス) 作者:ダニイル・ハルムス 白水社 Amazon 『ハルムスの世界』ダニイル・ハルムス著 増本浩子訳 ヴァレリー・グレチュコ訳を読む。 なんだかロシア文学を読むことが多い今日この頃。「ロシア文学」っていうと、暗い、重い、長いって印象だが、作者は、不条理、ナンセンス、シュールな笑いが作風で、しかも短いと。 「ロシア・アヴァンギャルド」の文字を目にすると、リシツキー、ロドチェンコ、カンディンスキーなどが浮かぶ。彼らはアート系。文学系だとマヤコフスキーとか。そこに著者がいたとは知らなんだ。 突然変異か。試しに何篇か読み出すと、いやいや、これは。好みではないか。193…
「反抗」と「プチ・ブル的な愉楽」とは常にさうして両立するー80年代に出された「思想」の本を読んで 壱ー 練馬・教え子にわいせつ行為、動画保存もしていた現役校長・北村比左嘉容疑者(55)は妻を溺愛、“生まれたばかりの子”がいて…裏切りの素顔 | 週刊女性PRIME (jprime.jp) うわあ、どうでもエエんですがもう55なのに「生まれたばかりの子」が居て其れでももっとエロをやりたいんですか? まあ其れは所謂「性欲」の個人差の問題です。 ですがあくまで自分の意見としては「生ものはなるべく避けモノに凝った方が良い」とのことです。 また「思想」に凝ることなどでも「性欲」は抑えられる。 但し「思想」…
最終回! ↓これの続き! cut-elimination.hatenablog.com ↓これを読んでいくシリーズ! 現代思想 2023年7月号 特集=〈計算〉の世界 作者:森田真生,細谷曉夫,近藤和敬,フリードリヒ・キットラー,ユク・ホイ,谷村省吾 青土社 Amazon 今回はフッサールに関する論考二つ! 富山豊「フッサール数学論における「計算」・「演繹」・「直観」の付置」 ここへきて本特集で最もおもしろかった! 積読している富山先生の本も読まねば。 フッサール 志向性の哲学 作者:富山豊 青土社 Amazon ダメットのいうカノニカルな証明とフッサールの直観の歴史的な繋がりとか、しかもテク…
ブランダム 推論主義の哲学: プラグマティズムの新展開 作者:白川晋太郎 青土社 Amazon 白川晋太郎『ブランダム 推論主義の哲学:プラグマティズムの新展開』青土社、2021年
我思う我在り デカルト フッサールの現象学からの、派生だけど。 そう。( ゚д゚ )彡そう!現実の把握ってめっちゃ難しいって点へのめざめだね。 自然に感じる 哲学的によく考えて わかる。 更にコレを 他人 一般論 と、✕6やらないと駄目じゃね?ってしてん なるほどすぎ
自分と未来のつくり方――情報産業社会を生きる (岩波ジュニア新書) 作者:石田 英敬 岩波書店 Amazon 『モモ』の「時間どろぼう」とプラトンの「洞窟の囚人」が現代を読み解くカギ!? 宮沢賢治にフッサール,デカルトまで飛び出す授業はとても刺激的.情報産業社会を生きる僕たち人間は,昔とどう変わり,これからどうなっていくのか.メディア情報学とフランス思想の研究者である著者が,中高生にやさしく語りかけた特別講義. はじめに第1回 『モモ』で読み解く労働と産業社会第2回 欲望をつくる文化産業第3回 意識を生み出すテクノロジー第4回 メディアという洞窟第5回 自分と未来のつくり方おわりに引用文献一覧
アーレント、ハイデガーからのフッサールに興味が出て、フッサールの現象学のなんか本ないかなと思って、図書館の本棚にあった、たまたま手に取った本。フッサールの現象学は超難解だと、本の感想をブログなどで漁っていてわかったが、この本は読者にやさしかったように思う。「哲学の中でも難解なことで知られています」ってフレーズをよく見るけど、難解じゃない哲学なんてないんじゃないの・・ 自分の立っている場所が揺らぐ恐怖 この本を読んだ時の私のこと。うつの脳が引き起こす恐怖の中にいた。自分の中から湧いてくる恐怖や不安の世界は今まで見たことがない、経験がしたことがないものだった。自分が立っている場所、そのものが根底か…
写真の引用元:Bracha L. Ettinger, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons エマニュエル・レヴィナス(1906 - 1995)は、「他者論」で有名なフランスの哲学者です。 この記事では、「顔」や「イリヤ」といったレヴィナスの思想を分かりやすく解説します。また、レヴィナスの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。 レヴィナスの思想 レヴィナスの思想を現代社会で生かす方法 レヴィナスのおすすめ入門書 <PR> (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); レヴィナスの生涯と時代背景 レヴィナス…
初心者向けのリストは以前に書いたものがこちらにあります。最初に哲学書を読もうと思われたら下記のリストのほうがいいかもしれません。 waka-rukana.hatenadiary.com 最難解な哲学書 30冊 選ぶ基準 1.歴史的評価の高いもの 2.分厚いものや巻数の多いもの 3.翻訳も難しいとされているもの 4.西洋哲学の範囲内のもの 5.哲学以外の本も若干含まれる 古代 8選 『ソクラテス以前哲学者断片集』 プラトン『国家』 アリストテレス『形而上学』 プリニウス『博物誌』 『初期ストア派断片集』 セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁』 プロティノス『エネアデス』 『ナグ・ハマディ…