第5章 ガソリン残り一滴 時間がゆっくりと過ぎていく。少なくともオリッサにとっては、1時間が1ヶ月のように感じられた。一方シビルは陽気におしゃべりを続け、笑いさえ浮かべながら、この窮地を深刻に受け止めようとはしなかった。「でも、お腹ペコペコよ。空を飛ぶと食欲が湧くものなのね」シビルは明るく話しかけた。「スティーブが用意してくれたランチが、こんなに近くにあるのに手が届かないなんて! 一体どうやって食べろって言うのよ」「水上なら簡単に届くんだけどね」オリッサは状況を説明した。「でも今は無理よ。バランスを崩すと危ないから、下のボートに移動するわけにはいかない。それに、たとえ下まで降りられたとしても、…