本書はその構成が入れ子構造になっていておもしろい。序章が明治43年、終章が明治44年。その間に、「天文15年日本国・薩摩」から「天文21年五島から石見」の期間にわたる物語が挿入されている。その章立ては、安次郞、ザビエル、バラッタという3人の主要人物名が見出しとして交代しながらストーリーが展開していく。 東京四谷の教会のフランス人老神父に教えられ、一人の作家がフランシスコ・ザビエル神父の亡骸を納めた聖櫃の開帳を拝見するためにインド亞大陸西岸に位置するゴアまで大型貨客船で出かける。作家は美しくも悲しい聖ザビエルの伝記執筆を意図していた。 銀の柩の中の御遺骸に接した後、若いインド人助祭に文書館か図書…