2023年11月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 猛暑の終わりのころ、シスターの中村寛子さんを訪ねた。この方に会うのは2001年1月以来なので22年半ぶりである。当時、彼女はコンゴ民主共和国、旧ザイールの首都キンシャサにある修道院にいた。私は5年半のアフリカ駐在を終える直前、新大統領の就任式でこの地を訪れた際、彼女を訪ねた。初めてお会いし、3時間ほど話をした。それを新聞の「ひと」欄という小さな記事にしただけの関係だ。 コンゴでは暴動に巻き込まれ怖い思いをしたこともあったが、私は懲りずにその地に通っていた。結構自分なりに疲弊していたのだろう。質素な修道院の部屋に案内され、お茶を飲みながらシスタ…