竹里館(王維):1000年早かった象徴詩(随想録―25) 盛唐の詩人のひとり、王維(おうい)は、李白が「詩仙」、杜甫が「詩聖」と呼ばれたのと同じく、「詩仏」と称され、李白、杜甫とならぶ大詩人でした。ここに「竹里館」という詩を見てみましょう。 竹里館 獨り坐す 幽篁の裏 琴を彈き 復張嘯 深林 人知らず 明月 來って相照らす この呼吸、時代を超えると思います。私は19世紀から20世紀にかけての、フランス象徴詩とそれを担った詩人たち・・・ボードレール、ランボー、ヴァレリーたちを世界最高水準のものである、と私は断言して恥じるところはありませんが、この王維の「竹里館」は、間違いなくその水準に達している…