フランシス・フォード・コッポラ作品集中鑑賞の続きです。 『カンバセーション…盗聴…』(1974年) プロの盗聴屋の生態を描く傑作スリラー。好きなコッポラ作品を一本だけ挙げろと言われたら、迷わず本作を推す。複数の録音テープから状況を再現する場面の高揚感。盗聴や監視の世界で生きる孤独な男が逆に盗聴の影に怯えるパラノイア感覚。宙吊りのラストシーンが忘れられない。デヴィッド・シャイアの冷たい音楽が最高だ。 主人公ハリー(ジーン・ハックマン)は録音機材を通して世界の一部を覗き見ることしか出来ず、生身の人間とはマトモな関わりを持てない男。あの異様な暗さ、孤独な姿は、カメラを媒介としてしか他者と関係を持てな…