ホウ・シャオシェン監督による1983年作『風櫃(フンクイ)の少年』について。 日常を映画のように見る少年たち 主人公である少年が大人になる直前の悪友や片想いの相手、親の家族像をなぞることなどに対する葛藤についての物語であり、モラトリアム映画。それと同時に、日常、そして自分の過去の記憶や将来の願望、不安があたかも映画のように見える時期についての映画。 全体的に遠近感が消されたような平面的な撮り方になっており、音も別録音のようなべったりした距離感のないものになっている。さらに、平面な画面をフレームで区切ったショットが頻繁に出てくる。それによって、この映画に映っているものが主人公達から見ても映画であ…