「失礼しま~す!」 今日も失礼くんが、元気よく大物司会者の楽屋へ乗り込んでゆく。もちろんノックなどするはずもない。ノックをすれば追い返されるのがわかっているからだ。「はい、よろしくね~」 失礼くんをドラマの番宣に来た子役だと勘違いした大物司会者が、メイク中の鏡越しに適当な挨拶を返して終わらせたつもりになっている。しかしここで引き下がってしまっては失礼くんの名折れである。むしろここからが失礼くんの腕の見せどころであるに違いない。「もし良かったら、一曲歌ってもらってもいいですか?」 失礼くんが、ぶしつけにとんでもないリクエストを投げかける。大物司会者の本業は歌手なのである。「歌えって、いまここで?…