英国在住のライター、翻訳者、ブロガー。(本人の弁によれば「言語のいたこ」*1) 映画情報サイトMovieWalkerに寄稿記事が掲載されている。(MovieWalker"ブレイディみかこ"記事一覧) 英国での生活を綴ったブログ「THE BRADY BLOG」が、碧天舎から「花の命はノー・フューチャー」として出版される。(ただしその後碧天舎の倒産により絶版)
花の命はノー・フューチャー
1996年より英国在住。現在はBRIGHTON, EAST SUSSEXの「丘の上」で生活しているとのこと。
*1:出典:http://www.geocities.jp/mikako0607jp/6th.html
★★★★☆ 内容 イギリスのカトリック系の小学校から白人ばかりの元底辺の中学校に進学した子供と、それを見守る母親が見たイギリス社会。第2回本屋大賞 ノンフィクション本大賞。 感想 アイルランド人の夫と英国で暮らす著者。その息子が通い始めた元底辺校での学校生活の様子を通して、英国社会を考察していく。 まずイギリスでは白人ばかりが通う学校は敬遠されるということに驚いた。貧しく教育熱心でもない白人家庭の子どもが通う学校はレイシズムが酷い。だから移民やその子孫はそこを避け、裕福で教育熱心な家庭の子どもが集まる学校を選ぶようになる。そうすると自然と多様性のある学校は学力の高い良い学校に、白人ばかりの学校…
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ記録。 これが出版されたのが2019年とは思えないほど、ずいぶん前に感じられる。 売れに売れて、表紙がイエローで目立つこともあり、どこでも平積みで、私の周りでも多くの人が感想を口々に述べていた記憶がある。 私はそのときのブームには乗り遅れ、3年後の今、ようやく読むタイミングが巡ってきた。 2020年の年末に10代向けの本を出版したが、そのときもあまり参考にせずにいた。 今月になって、この一年ほど関わっていた神戸のオルタナティブスクールでの授業づくりのふりかえりイベントの準備にあたって、なんとなくこの本を読んでおくと良さそうだなと思い、手に取…
イギリスのブライトンに暮らす著者(保育士でエッセイやルポのライター)が、アイルランド人と日本人の混血である息子をモチーフに、イギリスの教育や格差や差別や分断をユーモラスに描いた家族エッセイ。ベストセラーが文庫化されたので読んでみたらかなり面白かった。 イギリスでは学校が公的に格付けされているらしい。元々はエリートなカトリック校に通っていたが息子だが、中学進学を機に、カトリック校ではなく、元底辺校へ(校長の努力で底辺校から中程度にレベルアップした由。学校見学で母親の方が面白さを感じている)。 公営住宅地域にあり、どちらかと言えば下層階級の地域になるのか、人種差別や格差など、様々な問題を抱えつつも…
この本は、一言で言えば「おっさん版 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」だ。 本との出会い 以前に「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んだ後に、同著者の作品である「他者の靴を履く アナ―キック・エンパシーのすすめ」をすこしばかり読んでみた。しかしこちらの本は実録エッセイではなかった。どちらかというと「学術論文」に近い文体で、読書初心者の自分にはあまり面白いと感じることが出来ず挫折してしまった。いつかこういった文章も読めるようになりたいな。 そんな中で、読書会に参加した時に他の参加者に進められた本がこれだった。 Book・offで買ってみて早速読んでみたところ、最初に出た感…
しばらく読書をしていなかった私が 最近本を読むことがマイブームになっています。 1年ぶりくらいでしょうか。 本って、 読み出すと次々読みたくなるけれど 一度離れてしまうと 別に読まなくてもいいやって感じで 全く読まなくなっちゃいます。 (これ、私だけ?) (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 「すごい左利き」 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 「世迷いごと 」「続・世迷いごと」 まとめ 「すごい左利き」 きっかけは先日読んだ 1万人の脳を見た名医が教える 「すごい左利き」 昨年、「すごい左利き」の本を知り、 ずっと読…
話題のベストセラー。ブレイディみかこさんは、この本が話題になるちょっと前ぐらいに、ラジオに出演してたり、ウェブで読める記事で知っていて、The Smithsとモリッシーについて語っていたり、イギリスの幼児教育について語っているのを聞きかじっていた。卑近なミクロな視点からの語りと、マクロな社会的な状況をうまく織り交ぜながら語っていて、本作が出版されるときにもラジオに出ていたはずで、その当時から読みたいな~と思っていた。ラジオは「荻上チキのセッション」とかだったと思う。 さて、ベストセラーなだけはある。まず文章のリズムが良く、とっても読みやすい。息子と著者は英語でやりとりしているとのことなので、二…
イギリスに暮らすおっちゃんの生態。あのブレイディみかこさんならではのエッセイ21編。イギリスのイメージって紳士とパブと女王様ですが一変して普通のおっさんの生態って親近感が湧きました。家庭問題だったり、EU離脱の是非、緊縮財政英国の利便性がいいとは言えない病院政策どこの社会にも問題はあるし、様々な生き方もある。遠くの国だった英国が日本と繋がった感じ世代で括ってる章もありましたがまさにITの行き届いた世界では場所ってよりも世代間のギャップの方がピンと来るものですね。酒を飲み飲んだくれて・・逞しく楽しく生きて行くおっさんの面白みを感じるオジパワーは世界で健在だ!
いきなりこう言われて、あなたは何を思うだろう。後から追記して末尾に載せたTwitterだとすれば、『ヒトの一生』のストーリーかも知れない。あなたの "今" はなに色ですか? 私は今、何色なんだろう⁉️ "イエロー、ホワイト、ブルー" 名は体を表す、と言うが、まさにこの表題をまとった文章、そのページを開いてみたいと思わせるのに、わたしには十分すぎた。 2019/6 新潮社から刊行され「単行本発売から2年という文庫化は、標準的なサイクルではある。しかし(中略)本社が今も単行本のままベストセラーランキングの上位にあり、売れ続けているからだろう。」(引用 : 『解説 この不幸な時代に』日野剛弘) この…
今読みたくなる本が見つかるBOOK文芸書ランキングーブックファースト自由が丘店集計ー 毎週土曜日のTBSの情報番組「王様のブランチ」で紹介されるBOOKランキング。今回は、ブックファースト自由が丘店による文芸書ランキングとして放送されました。 今どんな本が売れているのか、わかります。そして、きっと今読みたくなる本が見つかるはずです。ランキングをご確認してみてください。 1位「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」ブレイディみかこ 2位「月夜の森の梟」小池真理子 3位「星を掬う」町田そのこ 4位「ムスコ物語」ヤマザキマリ 5位「むき出し」EXIT兼近大樹 注目の一冊としてピックアップされ…
『女たちのポリティクス』ブレイディみかこ/著(幻冬舎新書, 2021年) 「女性の政治家はなぜ増えないのか」はここ数年わたしに浮上してきたテーマ。やはりこれは読まねばなるまい。ネットニュースで見たりやウェブマガジンで断片的に読む。(今やソースがこれなんだなー!)あの政治家、この政治家をブレイディみかこさんのキレのいい文体がざくざくと斬っていく。日本からは稲田朋美と小池百合子が登場。なるほどなー、こういう見方もあるかー どんなふうに見られてきたか、どのように意図し、どのように行動してきたか。誰によって影響を与えられ、誰に影響を与えたか。 時間が経ったから語れることがある。それを通覧できるのはあり…
・ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた 著者:鈴木綾 出版:幻冬舎 日本人じゃない30代の女性が、日本に留学し、6年間東京で働いたのち、渡英。グローバル企業に勤務しつつ、ロンドンで生活している日常のあれこれや、思うことなんかを記したエッセイ。 日本人名ですが、これはペンネームで、多分中華系の女性なのではないか…と。 <日本が好きだった。東京で6年間働いた。 だけど、モラハラ、セクハラ、息苦しくて限界に。 脱出して、ロンドンにたどり着いたー。> <フェミニズムの生まれた国でも、 若い女は便利屋扱いされるんだよ!>(帯より) …とくると、「日本もダメだけど、ロンドンだって同じようなもん」って…
・タイトル 私がモテてどうすんだ 第7巻 ・点数 88点 ストーリー☆☆☆☆ 画力☆☆☆☆ オリジナリティ☆☆☆☆☆ テンポ☆☆☆☆☆ 熱中度☆☆☆☆ ・本の概要 ・露天の夏 ・殿の祟り…? ・セカンドキス ・俺は出遅れている ・別フレ50周年記念ショート ・感想 オタク特有の主語を省いて話す感じも分かるし、元ネタが歴史上のマイナー人物だと反応しがちなのもめっちゃ分かる(笑)そうか、聖地巡礼は自腹で行かなきゃ失礼にあたるのか、深いな。 僕はアウトドア系ではないので、そこら辺は聖地巡礼というのはしたことないのですが、勉強になりました。φ(..)武将をモチーフにしたゲーム、漫画・アニメ、ドラマ、映…
自分に自信を持つ、とはどういうことだろうと考える。今日、バイクが故障したので歩いて出勤したのだけれど、グループホームの方とこれからの段取りをLINEで話し合った。その時、これからどうしたいか問われてあれこれ自分の中からプランが出てきたことに我ながら驚いた。これが自分に自信を持つということなのだろうかと思った。別の言い方をすれば、私は自分に自信を持とうと思って空威張りしたわけではなく、自然と自分の中から自信に満ちた決断が出てきたというわけだ。そこに私は奥義を見出した思いがした。こうして自然と生れてくるのが自信なのかもしれない。前にも書いたが、私は自分に自信を持てないことを悪いことだと思わない。そ…
4時半過ぎに起きる。筋トレ、胸、上腕二頭筋。 Nightly News(5月5日分)。トップ・ニュースはウクライナ情勢。その後、NY株式市場の暴落についてアナリストみたいな人がでてきて短い解説をしていた。「投資家は不況のほうに傾かずにインフレを抑制できるかを気にしている。朗報なのはいま時点では雇用がちゃんとあること」。「投資は長期的に」と最後に忠告が。中絶権に関するデモ対策でアメリカの最高裁では周囲にフェンスが設置されはじまっている。 6時半ごろにHが起きてくる。 朝食後に洗濯など。Hの制服のポロシャツにハヤシライスのしみがついていたので、それを落とそうと頑張ったりする。それから上履き洗い。こ…
今日は遅番だった。午前中、時間があったのでブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読む。あまり世界情勢には詳しくないのだけれど、金持ちがますます金を稼ぎ私を含む貧者はますます貧しくならざるをえないというのは世界的な傾向なのだろうと思う。本書に登場する主人公と「母ちゃん」と「配偶者」を取り巻く環境もそうした不平等を反映している。だけれども、彼らは後ろ向きにはならない。パンクから学んだスピリットに更に磨きをかけて、こんな生きにくい時代を生き延びようとしている。そこに頼もしさを感じた。前に読んだ『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』にしてもそうなのだけれど、ブレイディみかこは…
ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング・リターンズ』を読み終える。ヨーロッパとイギリスの政治や経済を中心としたコラム集なのだけれど、読みやすい文章で難解な事象が整理されており収穫は多い。食べ物について書かれたコラムが多いな、という印象を受ける。フードバンクや朝食を抜くしかない子どもたちの話題などなどだ。ひもじい、という率直な生の実感がそのままどうこの乱世をふてぶてしく生きるかに結び付けられて、そのまま政治問題に接続される。彼女は抽象的な問題を弄ばず、アクチュアルな問題を考え抜こうとしている。そこに頼もしさを感じた。今日は私の父の誕生日だった。今年で父は86歳になる。昔、私は父のことが嫌いだっ…
◎本日の活動 ・勤行・お参り・楽器練習 今日は甥っ子が遊びにきて楽しかったです♪ ◎本日の仏教 Twitterでおこなわれていた#あなたの本棚のこいのぼりにブログで参戦したいと思います。こ 古代インドの神秘思想 (講談社学術文庫) 作者:服部 正明 講談社 Amazon い インド人の論理学 問答法から帰納法へ (法蔵館文庫) 作者:桂 紹隆 法蔵館 Amazon の ノルウェイの森 (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon ぼ ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫) 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon り 輪廻の思想 作者:梶山 雄一 人文書院 Amaz…
50冊チャレンジの34冊目は『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』(ブレイディみかこ)。昨年末に知り合いの保育園長に勧められた本。以前読んだ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がとてもおもしろかったこともあり、少し時間は経ったけど読んでみました。 他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ 作者:ブレイディ みかこ 文藝春秋 Amazon 実際に体験したことについて書かれている箇所は読みやすく、引用を多く用いている箇所は少しくどく感じます。でもタイトルの「他者の靴を履く」「To put yourself in someone's shoes」は文字通り大事な考えで…
2巻から読みはじもたのだが、1巻こんなにも良書だったとは。イギリスの中学生子育て日記。階級社会であるイギリスは、それはそれで生きにくさを感じる。そんななか、元底辺校を応援したくなる。新聞に[低学歴国 ニッポン]という連載が始まった。七五三とは、高校で7割、中学で5割、小学校で3割が、授業を理解していないらしい。にもかかわらず、中学の英語は、英語で行うこと、プロアクティブな討論の授業を行うこと等、あれこれ指導要領があるらしい。ありゃりゃイギリスの公立校でも、情報公開制度もあり、元底辺校は教育に力をいれており、ドラマや音楽にも真剣に取り組んでいる。もちろん、いわゆるプライベートスクールと言われる所…
第22回勝抜杯の予選ペーパー解いてみた 第22回勝抜杯の予選ペーパー解いてみた 勝抜杯とは ネタバレ防止用のスクロールのための場つなぎ 解答してみた 解いた者の情報 各問題に答えてみた結果 2022年4月29日に開催されたクイズのオープン大会『勝抜杯(かちぬけはい)』の予選ペーパークイズの問題が公開されていましたので、解いてみました。50問の筆記クイズを制限時間18分で解くものです。結果、私の点数は15点でした!うわー!予選通過にはぜんぜん届かない点数だー!!無念!!↓予選問題と模範解答は、勝抜杯公式ブログで公開されていますので、みなさんもぜひ解いてみてください!! 予選問題・模範解答 : 第…
今朝、またジュディスさんとclubhouseで話をした。思い起こせばclubhouseに参加してから半年が経つ。ジュディスさんにはいつもお世話になっている。彼女のおかげでclubhouseでこうして話すことが楽しいと思えるようになったのだった。ただ、自分の英語は本当に通じているのだろうかと思うことがある。英語で書いたり話したりし続けているのだけれど、本当に向上しているのだろうか、と。わからないけれど、でもジュディスさんと話している時は楽しいのでこの感覚は忘れたくないと思っている。「考えるな、感じるんだ」と言ったのはブルース・リーだったか。昨日グループホームでお金のことを相談した時に、スタッフの…
今日からまた何か新しいことをしたくなって、Anthony DeCurtisという人が書いた"LOU REED"というペーパーバックを読み始めることにした。タイトル通りブルックリンの至宝ルー・リードに関する伝記だ。英語の書物を読むのは久しぶりだ。少し読んだ限りでは本書は容易く読めるというものではなさそうだが、ルー・リードというミュージシャンを知るためには好個の伝記であると判断した。今までルイーズ・グリュックの詩集とデヴィッド・リンチの伝記『夢見る部屋』を読んだことがあったけれど、うまく行けばこれが3冊目の英語の書物となる。朝、イオンに行きそこでブラー『パークライフ』を聴きながらブレイディみかこ『…
朝、クーリエ・ジャポン編『不思議の国ニッポン』を少し読む。そこで日本のサラリーマンに関して書かれた文章を読み、自分のことを考える。私もかつてはサラリーマンをバカにしていた。没個性的な存在であり、保守的な生き方の象徴と思っていたのだ。個を主張して尖って生きたいと思っていたので、そんな生き方はまっぴら御免だ、と……今、私は何だかんだあってサラリーマンとして生きている。サラリーマンが直ちに没個性的な生き方に結びつくという愚かな思い込みも捨ててしまった。なかなかこの生き方も味わいがある、と思う。朝、ジュディスさんがclubhouseで開いたルームにお邪魔して話させてもらう。私はいつものように日記を朗読…
毛利嘉孝『バンクシー アート・テロリスト』を読む。いつの間にか私たちの生活の中にバンクシーの芸術は入り込むようになった。彼の描くグラフィティが町を賑わせるようになってずいぶん経つ。でも、肝腎のバンクシーとはそもそも何者なのか。このコンパクトな書物はそんな問いに答えんといろいろな角度から彼を語る。現代美術という1つの軸だけで彼を語るのではなく、カルチュラル・スタディーズに詳しい著者ならではの視点でバンクシーを産んだ国であるイギリスの音楽や政治と彼との影響関係を語る。それ故に膨らみのある、侮れない一冊となっているように思った。『バンクシー アート・テロリスト』を読むと、私が持っているバンクシーのア…