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プリニウス

(動植物)
ぷりにうす

・Plinius ( ; Gaius Plinius Secundus )。A.D.25〜79年8月。イタリア北部「コムム」Comum生まれ(Comoコモ;長さ46km・最大幅4.3km・深度420mで“ヨーロッパ最深の湖”として有名な「コモ湖」のある)。 ローマに出て教育を受け、成人に達すると、一般的で典型的なローマ兵士の経験を積み、ゲルマーニアのスペリオルなど地方のあちこちへ飛ばされまくったが、AD68年に暴君ネロが死去し、親友のウェスパシアヌス帝時代になると重役;スペイン総督に任ぜられ、将軍職を全うした。
・ローマの“初代博物学者”! 「大プリニウス」と呼ばれる。(プリニウスには「ガイウス・プリニウス・セクンドゥス」と、「ガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス」の2名があって、カエキリウスの方は前者;偉人の甥であり、「小プリニウス」と呼ばれて区別されている。) ローマ帝国の海外領土総督を歴任。この傍ら、動物学・植物学に始まり医学・薬学・鉱物学・人類学・歴史・農学・天文学・地理学・芸術学に及ぶ浩瀚至極の『ナチュラル・ヒストリア』を著した。(「history」は元々「誌るすこと」「物語る行為」「語り部」、また「学知」「故事」。「history」から「hi」を除ったら「story」であり、同語源。最上級格の「ist」がイメージされているのだろう。また、同じ学問領域は長らく「フィシカ」とも呼ばれた。「薬」「物理」「身体」の「physica」。自然史、また自然学、博物学といった近しい辺りを標榜・徘徊するので一掃のこと結婚してしまえばいいのだが。→因みにアリストテレスの『形而上学』は原題が『Metaphysica』である。)
・勿論、既にB.C.384〜B.C.322年のアリストテレスの博物学知性・博物学体系はあったし、七賢人やソフィストと交錯する前7c〜前5cのイオニア学派やミレトス学派の「自然哲学」こそが叡智の始まりのようなものだし、この中には神秘思想の中核を成すピタゴラスやエムペドクレス、パルメニデスもあれば、少し下がって「医学の祖」;ヒポクラテスも在る。「数学の祖」のユークリッドはも少し下がるし、またこの頃には中興のようにしてエピキュロスやルクレティウスたちの自然科学が盛んになってきていたし、(結構重要な)BC43〜AD17のオウィディウスの『変身物語』も流行ってたけれども、そういう中、森羅万象ことごとくすべてを一括しようと人智の限界に挑んだスタイルはこの将軍が最初。
・その『博物誌』は余りにも、余りにも余りにも有名すぎる書物。 『 Naturalis Historia 』。項目数2万、全37巻の、自然科学を中心とした“全て”を扱う莫大な書物。
・雄山閣出版の49,350円全3巻物は『広辞苑』や『医学全書』、『食品成分表』並に遂に今や5版を重ねるし、『フーコー・コレクション』のようにテーマ分けされ・再整理された八坂書房版の分冊タイプもある。
・また肝腎の『博物誌』ではないが、退廃と幻滅の“負け犬”期ローマに楽天主義的な人類愛を抱き続けたこの知識人の所感が二百余通の手紙に綴られた『プリニウス書簡集』も講談社文庫から出ている。(が、こちらは甥っ子;「小プリニウス」の方の作品である。養父のことが多くの紙数を割いて語られている。)
・知識人は必ず通る王道・初歩だし、近現代日本の代表的-決定的知性である澁澤龍彦もこれに幻惑させられ・心酔しきっていたし、御存知われらが荒俣宏は徹底的に再検証し・更に凄いかも知れない博物学事典を造り上げた(;『世界大博物図鑑』全5巻→これは地球で一番すぐれた書物の可能性が濃厚! 但しそこまで原液の濃い〜ィ奴でなく、あっさり博物学全般を仕入れたいなら同著者の『想像力の地球旅行』などが実に小ザッパリと纏まっていて最高)。
・他、H.N.(=ハーバート・ニュートン・)ウェザーレットや福永武彦の息子=池澤夏樹のオマージュ本もある。
・プリニウスはAD79年のヴェスヴィウス火山(ベスビオス火山・ベスビオ火山)噴火の際に、先述エムペドクレスのように被災して殉職している。例の超々有名な生き殺し地獄絵「ボンペイ」の火山噴火事件である。どうやら職務で赴いて、その惨状を目の当たりにして放っておけなくなり、博物学的ボン・センスの全英知&全身全霊を賭け、危急存亡の民々を救おうと自ら駆け出して行ったものと想われる。よって、宮沢賢治の『グスコープドリの伝記』の原イメージであろう。
・この事件は1957年生まれのイギリス人作家の方のロバート・ハリスによって活写されている;『ポンペイの四日間』。 (アレキサンダーやアーサー王、グラディエーターにトロイ、キングダム・オブ・ヘブン…あるいは今度の『スパルタ 300』といい、古代史ブーム故、評判高い当作も映画化されるのではないか。)

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