本書は映画とマンガという「近代」的な芸術を比較することでマンガの理論化を試みる。これは映画とマンガが近代の「視覚」に依拠しているからだ。つまり、それは映画とマンガを同じように読み解きうる「視覚」を近代人である自分たちが持っていることを意味する。 モダニズムにおいて、各々の芸術の自己―批判=自己―限定において芸術の純粋さは保証される。マンガは文学でも絵画でもない不純な立ち位置にいる中でそれ固有のメディウムとして「コマ」を発見した。映画においてはそれは舞台美術と比較され、空間の動態化として論じられることになった。 映画とマンガとの差異で一般的に言及されるのは、「フレームの可変性」と「読みの時間の能…