アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン(1799-1837)
19世紀はじめのロシア文学〈金の時代〉を代表する詩人であると同時にその後のゴーゴリ、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフといたるロシア文学隆盛の原点となった詩人。
詩のほかにも、韻文長篇小説『エヴゲーニイ・オネーギン』や『スペードの女王』『大尉の娘』などの小説、『ボリス・ゴドゥノフ』などの戯曲が代表作として知られる。
ロシア文学
いつものフランス料理店、隣のテーブルで夫人と5歳位の男の子とが会話をしてゐる。タイムマシンがあつたら、過去と未来のどちらへ行きたい? 男の子は迷はずに答へた、未来と。 プーシキンの韻文小説。一月に新国立劇場で、チャイコフスキーの『エフゲニー・オネーギン』が演奏される為、その豫習として岩波の散文訳を読んだ。 若い時に若かった人は仕合せである。(...)だが、自分の青春が空しく過ぎたと思うのは、何と淋しいことだろう。自分がたえず青春に背いて来たと、また青春にみごと一杯食わされたと、自分のよりよい望みも新鮮な夢も、秋の木の葉が朽ちるように、みるみるうちに朽ち果てたと思うのは。 何があなたを私の足もと…
シミルボン投稿日 2022.08.14 (シミルボンのお題「読んでよかった、人からオススメされた本」に投稿したもの) スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫) 作者:プーシキン 岩波書店 Amazon 昨日、ナボコフ『絶望』(1936年ロシア語からの翻訳)を読んでいて、プーシキンの短篇「その一発」が文中に出てきた。話の本筋には全然関係なかったのだけれど、先に進む前に、この短篇を読んでおこうかなあ、と気になったのがきっかけ。調べると『ベールキン物語』の一話だという。 絶望 (光文社古典新訳文庫) 作者:ナボコフ 光文社 Amazon ※ ↑の感想を書いてます。「ミステリの祭典」ミステリの採点…
今日はプーシキンの、「大尉の娘」を読んだ。 ネタバレなし。 大尉の娘 (光文社古典新訳文庫) 作者:プーシキン 光文社 Amazon 舞台はエカテリーナ2世時代の帝政ロシア。主人公のピョートルは、いろいろあってロシアの辺境の要塞に着任する。 ピョートルは、そこの要塞司令官の娘であるマリアと惹かれ合っていく。 しかし、プガチョフの乱という大きな歴史的イベントが、2人を近づけたり遠ざけたりする……みたいな話だ(雑)。 お話の量自体は結構短いので、ちょっと長風呂するか、くらいの気持ちで読み切れると思う。 読んでみての感想としては……思っていたのとは違った! でも面白い。 個人的には、私にとって "ロ…
プーチン政権のロシア政府は許せませんが、祖国の暴挙に胸を痛める人々、処罰覚悟で抗議をする人々、世界の国々から出場や出演を拒否されるアスリートや芸術家たち・・ロシアの罪なき善良な人々の苦悩を思うと胸が痛くなります。 子どもの頃、中国の写真集を見た時のことです。確か昔の大連だったと思いますが日本人街の入口の門に大きな看板があり、そこには「犬と中国人は入るべからず」(支那人だったかもしれません)と書かれていました。信じられなくて父親に「入るべからず」の意味を確かめたほどです。日本人はどうしてこんなにひどいことをができたの?とわたしは泣きじゃくり、日本人であることが恥ずかしくて仕方がありませんでした。…
舞台は1700年代のロシア。 エカテリーナ二世の時代です。 オスマン帝国との戦争で疲弊した農民は不満を抱えます。 そんな中プガチョーフという人が農奴を解放しようと反乱を起こします。 急激に勢力を拡大しかなりの領土を手に入れます。 乱れている時代に起ったであろうことをプーシキンが想像します。 そういえば江戸時代に海で遭難し、なんとかロシアに渡り、エカテリーナ二世にも会った大黒屋光太夫はどの時代だったのでしょうか。 調べてみるとこの反乱の10年後くらいロシアに到着しているようです。 反乱の最中であったら日本に帰ってきていないかもしれませんね。 もしプガチョーフと大黒屋光太夫が出会っていたらどんな展…
急遽オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』を予約した為、その予習(先日の記事参照)。 プーシキンの戯曲。1825年に執筆され、1831年検閲をパスして出版。しかし作中の批判的精神は当局を躊躇させ、舞台上演には更に40年の歳月を要した。岩波書店、佐々木彰譯。良い翻譯だ。 リューリク朝が断絶し、ロマノフ朝始祖ミハイルが皇帝に就くまでの動乱期(1598-1613)。ボリス・ゴドゥノフという韃靼の血を引く一執政官が、士族階級の支持により皇帝となったことに対し、貴族階級は反撥。外国勢力と手を結び、僭称者グリゴーリイをしてリューリク朝後継者ドゥミトリイを名乗らせ、ゴドゥノフ朝の覆滅を企てた。 以上の時代背景から己ず…
ランキング参加中読書 こんばんは。デラシネ(@deracine9)です。 本日は、賭け事、ギャンブルの歌と題してお送りします。 いつものように、歌だけじゃなく、映画、アニメ、小説、マンガと、テーマに関わる作品を、たくさんご紹介しますので、乞うご期待。 それでは、1曲目。 賭け事の歌と言えば、これでしょう。 名曲中の名曲。 これを超える J ・POP の名曲がどれほどあるでしょうか。 落陽 吉田拓郎 落陽 (Live) よしだたくろう J-Pop ¥255 provided courtesy of iTunes よしだたくろうLIVE '73 Sony Music Direct(Japan)In…
ゲルマンは衝立のかげへ進んだ。そこには小さな鉄の寝台があり、手紙の通り右手に内房の扉が、左手には廊下へ出る扉があった。左手のを開けると、哀れな娘の部屋へ導く狭い廻り梯子が見えた。けれど彼は歩を返して、真っ暗な内房に踏み入った。 (「スペードの女王」より) 「スペードの女王」は、男たちが骨牌(カルタ)遊びに興じている場面から始まる。骨牌とはたぶんトランプのことで、彼らは賭けトランプをしているのである。 そこで、彼らの中の一人が、自分の祖母(お金持ち)は賭けトランプで必ず勝つ方法を知っている、という話をする。その昔、サン・ジェルマン伯爵という人物から教わったという。このサン・ジェルマン伯爵というの…
この間ふと思ったのが、気候や地域性と文学、地政学と文学の関係というのが興味があって、例えば、その地域(海がない、山があるetc…)やその気候の元で育った人間がどんな文章を書くのか、といったことに少し興味がある。 例えば日本みたいな四季がある国では「一葉落ちて天下の秋を知る」といった言葉がありますが、ロシア文学を読んでいると、ドストエフスキーとか、プーシキンとか、チェーホフとか、「紅葉が見られて秋が来たな~」とか、そんな文章は書かない。 その人その人の個性にも依りますし、自分もまだそんなに読んでないので何とも言えませんが、驚くほど知的な文章が多い。そして人物像とかでも、憶測や推測も含めて人間観察…
ショスタコーヴィチ Dmitri Shostakovich(1906-1975) 交響曲第14番 op.135 死者の歌 (1969) data & others close 1 深き淵より / 2 マラゲーニャ / 3 ローレライ / 4 自殺 / 5 心して / 6 マダム、ご覧なさい / 7 ラ・サンテ監獄にて / 8 コンスタンチノープルのサルタンへのザポロージャ・コサックの返事 / 9 おお、デルヴィク、デルヴィク / 10 詩人の死 / 11 むすび 01 / 02 / 03 / 04 / 05 / 06 / 07 / 08 / 09 / 10 / 11 1 深き淵より De pr…
おはようございます、茅野です。 この間、バズっているツイートに適当に乗っかったところ、殿下×お姫のカップルに関心を持ってくださる方々と繋がることができまして。たまには布教の構えを見せることも肝要なのかもしれません。殿下×お姫CPはいいぞ。童話を越えるぞ。 他にも、サーチしていたら、お姫の姉君推しの方に出会えたり。探せば見つかるものですねえ。 出逢いに感謝です。入門者も歓迎です。沼底でお待ちしております。 さて、今回は久々に旅日記です。1-3月は、ひたっっすら公演評ばかり書かされてましたのでね(※公演評を書くのはあまり好き/得意ではない)、執筆も微妙に萎え気味でしたが、漸く公演ラッシュから抜けま…
その顔さえ白くぼやけて ヴィクトリヤが、双子の片割れであるガヤーネを初めて憎らしいと思ったのがいったいいつだったのか―出生以前なのか、以後なのか―それは、だれにもけっしてわからない。(p.33) <<感想>> ウリツカヤはどうしてこんなにつまらないのに、こんなにも面白いのだろう。 安心して欲しい。これは私からウリツカヤへ送る最大級の賛辞だ。 ではいったいウリツカヤのどこがつまらないのだろうか。それは、ウリツカヤの手法が、物語の描き方が、全くもって古色蒼然、100年前から何の進歩もしていないように思えるからだ。 彼女に送られる賛辞に「現代のトルストイ」というものがあるが、これは全く当たっている。…
パリのルーブル美術館周辺でランチができるレストランをご紹介します。 ルーブル美術館の敷地内には、ルーブルを背景に食事ができるレストラン、その周辺にある本場イタリアンのレストラン含めてご紹介します。 インテリアが素敵な『ル・ミュセ』を追加しました。(2024年3月) ルーブル美術館周辺のフランス銀行側レストランのランチ 1.ルル(2023年5月に再開) 2.カフェ・マルリー ルーブル美術館周辺のカフェのランチ 3.ル・ミュセ【2024年】 4.ルイーズ・カフェ 5. カフェ・プーシキン【2022年クローズド】 6.ヴェロ・ドダ(パッサージュ内)【2022年クローズド】 まとめ ルーブル美術館周辺…
https://www.youtube.com/watch?v=sIBX6zm9CYQ 本スクリプトの動画はこちらからどうぞ Karina Canellakis FRANCE 24 2021/11/10 Olivia Salazar-Winspear A lightning rod for emotion, precision and excellence in classical music. オリヴィア・サラザール・ウィンスパー 彼女には避雷針のように、クラシック音楽に満ち溢れる、人々の感情の揺れ動きや、的確さ、素晴らしさが集まり、自らこれらを吸い込んでゆきます。 Now, it's no…
三週間くらい前からポーランド語をやっている。起床したら『ポーランド語基本文1000』をタイプ練習する。余裕があれば『ニューエクスプレスプラス ポーランド語』を読む。 フランス語の語彙強化も少しずつしている。ゾラのルーゴンマッカール叢書原文で読みたいので。 ドイツ語のことも忘れていない。来年度のNHKラジオ講座のテキストを定期購読している。 ロシア語にはいずれ戻る。プーシキンを原文で読みたい。
[今日の絵] 3月前半 1 de Vinci : ラ・ベル・フェロニエール1490 「フェロニエール」とは、額に着けられている金細工の飾り、ミラノのルドヴィコ・スフォルザ公の恋人であるルクレツィア・クリベリか、若々しくて生き生きとしており、とりわけ眼差しが美しい 2 Dürer : 若いヴェネチアの女性の肖像 1505 デューラーの二回目のイタリア旅行で描かれた、上流階級の若い女性と思われるが、上品な顔立ちといい、昨日のダ・ヴィンチの「ラ・ベル・フェロニール」と同様に眼差しの美しさなど、古典的で模範的な肖像画 3 Raffaello : ヴェールをかぶる女1516 モデルは、ラファエロの晩年の…
《海辺のバッカンテ》(1860-1865年) メトロポリタン美術館 《フィレンツェのボーボリ庭園》(1835-1840年) ルーヴル美術館 《黄泉の国からエウリュディケーを連れ出すオルフェウス》(1861)ヒューストン美術館 《ヴェネツィアの朝》(1834年) プーシキン美術館 《読書する僧》(1865年頃) ビュールレ・コレクション 《ヴィル・ダヴレー 白樺のある池》(1855-1860年) 愛媛県美術館 《イタリアの風景》(1835年) ゲッティセンター 《薄明》 《田園の演奏》(1857年) コンデ美術館 《湖畔の大きな樹木(ヴィル・ダヴレー)》(1870年頃) 山王美術館 神話や歴史物…
Féminin:ねぇ、最初にピーター・シェーファー作「アマデウス」を一緒に観たのはミロス・フォアマン監督の映画の方だったでしょ?確か’85年春先の封切りで。 Masculin:そうでしたね、僕はその三年前’82年の舞台初演で観てるけど。九代目幸四郎(現・二代目白鸚)のサリエリ、江守徹のモーツァルト、藤真利子のコンスタンツェで。上演をめぐっては松竹と劇団四季の間で熾烈な権利争いがあり、また個人で翻訳まで手がけた江守徹氏の熱意もあってこういった形での上演にこぎつけたと。 F:初演は私も関心があったんだけど行きそびれて、貴方はお母様の関係でチケットを貰ってご一緒したのよね、サンシャイン劇場に。それで…
ファイル写真: ベネズエラのカラカスで詩人アレクサンドル・プーシキンの銅像の除幕式に参加するロシアのセルゲイ・ラブロフ外相。Telegram / マリア・ザハロワ外務省報道官 【RT】2024年2月28日 https://www.rt.com/russia/593293-lavrov-western-isolation-attempts/ ロシアには西側エリートからの命令を拒否する友人がいる、と外交官トップが発言セルゲイ・ラブロフ外相は、経済的・外交的にロシアを孤立させようとする米国とその同盟国の試みを失敗させたのは、世界中のロシアの真の友人の支援によるものだと述べた。 モスクワが主催し、13…
『007シリーズ』15作目となる作品です。 監督は今回でシリーズ4作目となるジョン・グレン。 主演は、今回初のジェームズ・ボンドを演じるティモシー・ダルトンです。 作風としては、ロジャー・ムーアのボンド作品と同じくコミカルなアクションが多め。 中でも雪原でのギミック満載のカーチェイスとボンドによる空中での戦闘シーンは見ごたえがあります。 ティモシー・ダルトンは、今作と次回作『007 消されたライセンス』のみとなっています。 貴重なティモシー・ダルトン版ボンドを楽しみましょう。放送情報007/リビング・デイライツ【吹替】 BS141 BS日テレ 2024/2/29(木) 21:00-23:24<…
こんばんは、茅野です。 珍しいことに、バレエのレビューが連続します。連載も書きたいし、単発も書きたいところですが、今月はレビューラッシュですね……。 というわけで先日は、新国立劇場のバレエ『ホフマン物語』にお邪魔しました。2月23日マチネの回で御座います。 『ホフマン物語』もバレエ化されていることを、今回初めて知りました。無論、初見です。 意外とあるんだなあ、オペラとバレエで同じ題材の作品! 他にも隠れた作品がありましたら教えてください。 今回も、備忘がてら、簡単にこちらの雑感を記して参ります。 それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します! キャスト 雑感 プロローグ 第1幕 第2幕 第3幕…
Sergei A. Karaganov Russia in Global Affairs 21.02.2024 「我々の道は矢のように我々の胸を突き刺した古代のタタールの意志が......戦いは永遠に続く 我々は平和を夢見ることしかできない血と塵の中で草原の雌馬は飛び続ける草原の草を踏みつけながら...」アレクサンダー・ブロク 「クリコヴォの野原にて」 前回の記事では、私たちが現在置かれている前代未聞の危険な状況について述べた(カラガノフ、2024年)。本稿では、ロシアの国家安全保障戦略(2021年)、特に外交政策コンセプト(2023年)に基づき、ロシアが採用すべき新たな政策と優先事項について…
ロシアの概略 ロシアは、ユーラシア大陸の東部に位置する国であり、世界で面積が最も広い国の一つです。その領土は東ヨーロッパから北アジアにわたり、ヨーロッパ大陸の東端から太平洋に至る広大な地域を含んでいます。以下はロシアの概略です 地理的特徴: ロシアの地形は多様で、広大な平原、森林、山脈、河川、湖沼があります。ウラル山脈がヨーロッパとアジアを分ける境界線となっています。 シベリアとして知られる広大な東部地域は、世界最大の森林や氷河湖を含む自然の美しさで知られています。 政治:ロシアは連邦制国家であり、国の元首は大統領です。国会は二院制で、上院は連邦会議、下院は国家会議と呼ばれます。 ロシアの政治…