一九四〇年ごろ、ナチス・ドイツの一員が、個人的に親交のある日本人に伝えたそうだ。目下ドイツ国民の血管中に流れてるゲルマン民族本来の血は、全体の僅か五パーセントが関の山、雀の涙に過ぎない、と。 なんだ、それでは君たちが日がな得意がっている人種的純度の優位なぞ、──北方優良民族による高貴な世界指導なぞ、端から成り立たんじゃないか。日本人が難詰すると、いや大丈夫、血を純化する術はある、とうに我らは見つけていると、ナチズム信者も間髪入れず切り返す。 その手法とは、いったい如何なる代物か。 陶酔に声を上ずらせ、彼は熱く語ったそうだ。 「大体血とはどうしてできるか、物を食ふからである、物はどこにできるか、…