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ペルシア語

(一般)
ぺるしあご

イランの公用語。イランの主要民族であるペルシア人の母語でもあり、イラン人のおおよそ半数がこの言語を母語とする*1

通常はアラビア文字*2で表記する。そのため、日本ではアラビア語の一種と思われることも多いが、英語と同じくインド・ヨーロッパ語族に属する言語であり、動詞の活用語尾などはロマンス語(フランス語等)やスラヴ語(ロシア語等)とよく似ている。語順は日本語と同じくSOV。

現在では主にイラン国内で使われている言語だが、かつてはイスラム圏でアラビア語とともに公用語とされることが多く、主に宮廷語や文芸語として高い権威を持っていた。ペルシア語の詩は名高く、西洋ではペルシア詩の虜になった文学者も多い。

発音が美しいとされており、「中東のフランス語」との異名も持つが、「フランス語がヨーロッパのペルシア語だろ」との反論もあるとかないとか。なお、それと関係あるのかないのか、ペルシア語に近代以降に入った外来語にはフランス語由来のものが多く、現在のペルシア語では「ありがとう」も「メルシー」と言う。

アフガニスタンのダリー語、タジキスタンのタジク語はペルシア語にごく近い。言語名の語源的には同一の言語に他ならないが*3、地理的・政治的・宗教的・現時点での実際の言語的な事情等により、現在では別言語として扱われている。

ペルシア語学習

日本のペルシア語学習者に対してペルシア語の難易度を聞くと、返ってくる答えは恐らく「簡単」であろう。

元々印欧語の一種で英語等の知識がけっこう役に立ち、さらに語順はSOVと日本語と一緒であり、ある意味では英語と日本語を足して2で割ったような言語である。動詞は数・人称により活用するが、数・人称の活用語尾は極めて規則的で、活用というより単なる接尾辞のように思えるかもしれない。発音もかなり簡単で、アラビア語由来の単語に含まれるセム語特有の発音も、もっと馴染みのある類似音に変化している。

母音を原則として記さないアラビア文字は非セム語の表記には不適などと一般には言われているが、アラビア文字表記のアラビア語がそれなりに文法を押さえておかないと読めないのに対し、ペルシア語の場合は雰囲気でけっこう読めたりもするので、初心者にはある意味アラビア語のアラビア文字表記よりも親しみやすいかもしれない。

一方で、動詞の原形(過去語幹)と現在語幹の対応が原則不規則だったり、アラビア語由来の単語の複数形がアラビア語そのまんまで不規則かつ形が大きく変わったりと、難しい点もある。文法的に重要なエザーフェ*4が原則として表記されないというのも辛い。やはりどの言語にも簡単な点と難しい点があるものである。

あと、巷で言われているペルシア語が「簡単」というのは、アラビア語学習に挫折した上での発言かもしれないので、ゼロからペルシア語を学ぶとそれなりに難しく感じるかもしれない。

*1:「イランと言えばペルシャだろJK」という人もいるかもしれないが、イランは多民族国家であり、ペルシャ人は多数派ではあるものの人口に占める割合は5割程度である。ペルシャ人の次に多いのはトルコ(テュルク)系のアゼルバイジャン人で、人口の四分の一ほどを占める

*2:アラビア語にはないペルシア語用の文字をいくつか追加しており、「ペルシア文字」とも呼ばれる。

*3:「ダリー語」は「宮廷語」の意味で、宮廷でペルシア語が使われていたことに由来。「タジク」とはペルシア語を話すオアシス住民のことで、これによれば「タジク語」は「ペルシア語を話す人の話す言葉」という意味になる。

*4:一種の接続詞のようなもの。

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