身長は人間の半分ほどでドワーフよりも小さい。ひげはなく腹が出ており、緑や黄色などの派手な色の服を好む。かかとは皮のようにかたく、足は頭髪のような毛でおおわれており、物音をたてずに歩くことができる。長く器用な指を持ち、気だての良い顔をしており、腹の底から楽しそうに笑う。食べることと飲むことが大好き。食事は日に六回とり、うち二回はディナーである・・・
ドワーフやエルフやゴブリンなどとはちがい、ホビットはJ.R.R.トールキンが「ホビットの冒険」(1937)でつくりあげた創作で、その特徴については「ホビットの冒険」および「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」の冒頭にくわしい。
トールキンは、「指輪物語」の冒頭でホビットについて、まるで動物の生態を紹介するように書いており、「指輪物語」はあたかも図鑑か自然ドキュメンタリーのように始まる。いっけん冒険とは無縁な記述だが、ホビットがいかなるものかを把握しておくことは、その後の冒険におけるホビットのふるまいを知る上で重要である。
「指輪物語」が成功した原因は、指輪の運び手として、強いヒーローではなく、このか弱く平穏を愛するホビットをすえた点にある。
ペーパーバック版の「指輪物語」のうしろには新聞評が載っていて、「英語を話す者は以後、指輪物語を『読んだ者』と『これから読む者』とに分類されるであろう」とある。