赤川次郎という作家の文章は、ネット時代を先取りしたかのようなものだ。 短く、テンポが良い。 文章に、ねじれがない。 その上、目が離せない出来事が続けて起こる。 こんな書き方をされたら、読み進めざるをえない。 はらはらしながら出来事を追っているうちに、一冊読み終わってしまう。 こんな文章を書けたらいいな。 そう思ってしまう。 ある家族に降りかかった災難の物語である。 その災難を、家族それぞれの力でしのぎ切る。 誰もが、家族のために出来ることをして、結果、家族が守られる。 家族一人一人が、超人的なパワーを発揮するのでない。 なにがあっても潰れてしまわない。 そんな逞しさのようなもので、それぞれの身…