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aida-movie.com NHKの伝説的ドキュメンタリーシリーズ「映像の世紀」の中にクロアチア人によるセルビア人処刑の映像があったことを鮮烈に記憶している。 NHKスペシャル デジタルリマスター版 映像の世紀 ブルーレイBOX【Blu-ray】 [ (ドキュメンタリー) ]価格: 29330 円楽天で詳細を見る また、エミール・クストリッツアの諸作品でも描かれている旧ユーゴスラヴィア、ボスニアの紛争は、いくつか資料を読んでみたが歴史と地形と宗教対立が複雑に絡み、どちらの国に同情するとか正義があるとかいう問題ではない。 1995年、ボスニアの町スレブレニツァで起きたムスリム教徒への虐殺事件を…
真剣な面持ちの男が3人、自宅のソファに座っている。そして女。女はアイダという。男たちは夫と二人の息子だ。これから起こることに身構えるような面持ちである。 1995年7月、ここボスニアヘルツェゴビナのスレプレニッツァが、セルビア軍に包囲されていた。アイダは国連軍の通訳として働いている。スレプレニッツァは国連の管轄下におかれた安全地帯だったはずだが、明日にも攻撃を仕掛けてきそうな勢いだ。会議の席で市長は、国連軍が何もしないことにいら立つが、国連軍の責任者はこともなげに言う。 「私はピアニストだ」 アイダはそれを訳して付け加える。 「ただの伝令に過ぎないという意味よ」 翌日セルビア軍が侵入、町を制圧…
≪2014年冬 ボスニア・ヘルツェゴビナの記事です≫ ↑ お昼ごはんはボスニアの煮込み料理。 ボスニアの料理は、オスマントルコの影響が強いようです。 せっかくここまで来たので、少しお勉強をしようと思います。 galerija110795.ba サラエボ中心部にある「ギャラリー11/07/95」には、1995年7月に勃発したスレブレニツァの虐殺やサラエボ包囲の当時の写真や映像が展示されています。 映像は英語もしくは英語字幕でしたが、外国人向けに分かりやすくしてあり、8割くらいは理解できました。 カラーのビデオに収められた近代の戦争の様子は、壮絶でした。 食料や水を確保するため、銃弾が飛び交う中、…
≪2014年冬 ボスニア・ヘルツェゴビナの記事です≫ 前回の記事でモスタルからサラエボに到着した続きです。 ↑ セビリ(水汲み場) バシュチャルシヤはサラエボ観光の中心で、オスマン帝国時代にアラブのスーク(市場)をモデルに設計された商業地区 ↑ 昔のユダヤ人商人の様子 ↑ シナゴーグ 付近には、ユダヤ教のシナゴーグもありました。シナゴーグと聞くと、セックスアンドザシティのシャーロットが真っ先に浮かびます。 実際に入ったのは初めてでちょっと感動。 同じエリアに教会、イスラムのモスク、ユダヤのシナゴーグが共存しています。 よからぬ雰囲気の人に声を掛けられたりと、治安がものすごくいいという感じではな…
≪2014年冬 ボスニア・ヘルツェゴビナの記事です≫ 気持ちのいい朝 昨晩、暗がりで禍々しく見えていた廃墟たちも日の光が当たると心なしか爽やか 落書きがシャレオツ感を増している廃墟。中はどうなっているんだろう? こんな西洋風の建物にも銃痕が残ります。 ↑ ソンくんと仲良く写真を撮りまくっている様子が影になって写っていました。 ソンくんはソウルのユニクロでアルバイトをしていたことがあるそうです。時給はいいけど、常に笑顔で接客!とかルールが厳しくて大変だったみたいです。 日本が大好きで、日本に遊びに行くために友達と共同の銀行口座を作ってお金を貯めていると話していました。 こういうのを聞くと日本人と…
≪2014年冬 ボスニア・ヘルツェゴビナの記事です≫ 前回の記事で、モスタルのバスターミナルに到着した後の話です。 ボスニア・ヘルツェゴビナは、1992年に旧ユーゴスラビアから独立してできた国です。 かつてのユーゴスラビアは、・1つの国・2つの文字:ラテン文字、キリル文字・3つの宗教:カトリック、セルビア正教、イスラム教・4つの言語:スロベニア語、クロアチア語、セルビア語、マケドニア語・5つの民族:スロベニア人、クロアチア人、セルビア人、マケドニア人、イスラム人と表現されるようです。 これを聞くだけで、いかに複雑な事情がありそうか想像がつきますよね。 ↑ ホテルの部屋からの風景 ボスニア・ヘル…
セルビア語映画だが、地理的には曖昧な土地が舞台。けたたましい動物たちの声、そして睥睨するハヤブサ。 豚は肉になり、屠殺された豚の血で鵞鳥は入浴し、血の匂いに満ちた鵞鳥に蝿が集る。 ロバを脅しハイスピードで這い回る蛇もハヤブサの爪に押さえつけられる。そんな村で乳搾りをする男コスタ(クストリッツァ監督兼任)は、戦争で父を斬殺されそのショックで精神を患っている。ロバに跨り遠くの町にミルクを運ぶ道々に雨あられと銃弾が注がれ、爆撃が続く。 泥沼のボスニア紛争がモチーフであることは自明だ。狙撃、惨殺と殺戮の限りを尽くす軍隊をリアリズムで描き、純愛を得たコスタと花嫁(モニカ・ベルッチ)は、天上の神と動物たち…
DVDで映画『ノー・マンズ・ランド』(2001年、監督:ダニス・タノヴィッチ)を鑑賞。一見出来過ぎの話にも思えるが、緻密に計算されたシチュエーションで描かれる反戦映画の佳作。ノー・マンズ・ランド HDマスターDVDブランコ・ジュリッチAmazon舞台はボスニア紛争(1992-1995)の戦場、ボスニア軍とセルビア軍の中間地帯の塹壕。ボスニア軍の兵士チキは敵襲にあい、負傷しながらもセルビア軍陣地に逃げこむ。そこにセルビア軍のベテラン兵士と新兵のレニのふたりがやってきて、死体の下に対人地雷を設置する。ブービートラップだ。設置が終わったあと、チキはふたりを銃撃してベテラン兵士は死亡。そのとき死体と思…