新名哲明の旅行記『ポーランド紀行』(批評社、1991年)を読んだ。1989年秋、新名が約40日かけてポーランドをまわったときの記録だ。1989年というと、ポーランドで総選挙が実施されて一応の民主化が始まった年であり、隣国東ドイツではベルリンの壁が崩壊している。新名はそうした時期のポーランドをワルシャワ、連隊発祥の地グダニスク、古都クラクフなど、縦横にまわって、ポーランドの庶民の生活や考え方を観察している。 社会主義から転換する時期の貴重な記録『ポーランド紀行』 実は私もポーランドを訪問したことがあるが、それは2010年秋なので、新名の旅行はその21年前ということになる。またワルシャワ、クラクフ…