デヴィッド・フィンチャー監督の『Mank/マンク』は、実在の脚本家ハーマン・マンキーウィッツの伝記映画である。物語は、彼が代表作である『市民ケーン』の脚本を執筆していた1940年3月から5月にかけての出来事が中心となり、そこに1930年代のさまざまなエピソードが回想として挟み込まれていく構成をとっている。 本作の企画を知って最初に思ったのは、これはオーソン・ウェルズに対して批判的な内容になるのだろうなという事だった。『市民ケーン』の脚本は、マンキーウィッツとウェルズの連名となっているが、以前からマンキーウィッツは、映画のアイディアは自分のものであり、脚本は一人で書いたと主張し、ウェルズと対立し…