【内田 樹 さんの文章からの抜き書き】 自分が生まれてからこれまで1度も口にしたことがない思念や感情を、いまここで語ろうとする時に「大きな声で、はっきりと」言えるはずがない。「大きな声で、はっきりと」言えるのはストックフレーズだけです。定型句だけです。誰かの請け売りだけです。誰かが言っているのを耳にして、記憶していたものを「再生」するだけなら、大きな声で、はっきりと言うことができる。そういうものなんです。 ですから、学校教育の場では、先生は子どもたちに「大きな声で、はっきりと自分の思っていることを言いなさい」という要求をしてはいけない。そんな条件を課したら、子どもたちが口にするのは「誰かの請け…