一晩中、いや、一日中、風が猛威をふるっていた。葉をすっかり落とした庭のブナやナラ、エゴの樹は風のなすがままに揺れ、まるで市街戦で崩れ果てた街並みのように立ちつくしている。ソヨゴとカシは葉を落としてはいないが、甲斐もなく空気をかき回し続けていた。膝丈も腰丈もないドウダンやサツキ、ウツギやヤシオツツジは、ただ屈んで耐えていた。 翌朝外に出ると、まだ風が吹いていた。さすがに風神様もお疲れか、少し和らいではいたが。 空の植木鉢はどこへ行ったのか。枝や抜いた雑草を入れるポップ式のごみ入れはどこへ飛んだのか。林の中を探したけれど見つからない。誰かが拾って使ってくれればよいだろう。 扉にもどって気がついた。…