マミーズ

今回はレギュラーではなく、姉妹品の「大人の味のアップルパイ」を選んだ。酒に漬けたブルーベリーをたっぷり底に敷いて焼いてある。酸味と酒精味がほのかに移った、まさしく大人の味である。色合いも、レギュラーとはがらりと異なる。 日暮里・西日暮里、あるいは谷中・千駄木界隈で寄合いまたは用足しがあったおりには、帰りに「よみせ通り」のマミーズさんへ立寄って、中型ホールをひとつ買って帰ることにしている。今日は順序を変えて、寄合いの前に立寄らせてもらう。おりしも日曜日で、小春日和とでも云うかのように、午前中の陽射しが好い。絶好の散歩日和だ。帰りにまで時を延して、売切れになってしまっては一大事だ。 谷中銀座あたり…

ドーム球場の丸天井よろしく、高く盛上ったアップルパイだ。それもそのはずで、皮を剥いて四半分に、せいぜい六分割して芯を落したままのリンゴが、ゴロンゴロンと入っているのだ。隙間を埋めるパテというのかソースというのか餡というのかも、艶があって極上の甘みと酸味だ。 霊園を後にする。ここからはいくつもの散歩コースがある。上野桜木町から東京芸大を通って上野公園へ抜けるコース。職人仕事の作業場や店ばかりを縫って歩くコース。古風な家並や巨樹古木を辿るコース。遠くまで歩かずとも、近隣の寺でらの境内を眺め歩くコース。まだまだある。 朝倉彫塑館は思ったとおり休館日だった。連休明けの日だから、無理もない。さてどちらへ…

朝の出勤前は忙しい。こんな気分は、さてなん十年ぶりだろうか。 この一週間ほどは、「ラジオ深夜便」のエンディングを聴いてない。「今日一日が、なにかひとつでも、好いことのある日でありますように」といった、パーソナリティーがたのお別れご挨拶を耳にしてこなかった。 取るに足らぬ事情がいくつかあるけれども、唯一重要だったのは、母校の体育館へ午前十時までに参上せねばならぬ日があったからだ。いきなりさような行動は、私には無理だ。助走をつけるつもりで、数日前から朝起床を実行したのだった。 その日は済んだものの、悪い習慣ではないから、続けられるものなら続けてもよい。「ラジオ深夜便」や「ラジオ体操」に義理があるわ…

母校前景。 外から眺めても、守衛所に挨拶して構内へ踏み入り、どこをどうキョロキョロ視回してみても、記憶に合致する箇所はない。卒業して数年後に、大規模な校舎建替え工事があり、その新校舎が老朽化したというので、全面的に建替えられたのが今から数年前だ。 わが想い出の校舎は、旧々校舎ということになる。 バスケットボール部の OB 会だ。といっても公認の OB 会は別にきちんと存在するらしい。当方はスーパーシニア世代による同好会である。有能かつ名声に富む幹事団の骨折りで、母校の体育館を拝借できる。床といいリングやボードといい、われらの時代であれば、区の予選を勝ち抜いて東京都の本大会にまで駒を進めなければ…