巨匠黒澤明のエンタメ気質とハリウッド、そしてロシアの哲学がトリプルクロスして雪原を突っ走る快作 (評価 76点) 日本が誇る一大巨匠、黒澤明。その巨匠がしたためた一本の脚本。その脚本はたちまちハリウッドの目に留まり、映画化の快挙がクロサワ自身の手で実現するはずだった。しかし、その企画が頓挫、その脚本は長らく一つの伝説となった。 膨大な企画が浮かんでは消えていく映画業界にあって、映画化が果たせないまま、脚本のネームバリューだけが不滅のままレジェンドと化していく脚本があるもので、この「暴走機関車」は長年、業界関係者、映画ファンの間では不滅のブラックホールのような一つのエンブレムとなっていた。 それ…