伊:Mandolino 英:Mandolin
古代由来の楽器「リュート」を祖とし、19世紀中頃イタリアで大改良されて生まれた撥弦楽器(はつげんがっき。弦をはじいて音を出す楽器のこと。ほかにギターなど)。金属弦が繊細で優美な澄んだ音を出し、ドイツ、イタリア、そして日本で愛好者が多い。日本伝来は約100年前。本家イタリアでは20世紀前半まで隆盛を極めたがその後下火になり、現在、日本が世界一の愛好者人口を持つ。イタリアのカンツォーネなど民族音楽で用いられるほか、イタリア・ドイツなどで作曲されたマンドリンオリジナル曲など、またクラシックの作曲家もヴィヴァルディやベートーベンなどがマンドリンのための楽曲を作曲している。日本ではほかに邦人作曲家によるマンドリンのための多数の楽曲がある。
イチジクを半分に切ったような形の小振りな胴体、フレット付きの指板がついており、調弦はヴァイオリンと同じ(高音からEADG)であることから19世紀〜20世紀初頭のヨーロッパではヴァイオリンの代替楽器としても愛用された。4種類の音の高さのスチール弦をそれぞれ2本ずつ計8本張り、鼈甲や最近ではプラスティックなどで作られた小さなハート型のピックで弦をはじいて音を出す。主な奏法に、ピックで弦を弾くピッキング奏法と、マンドリン属に特徴的なトレモロ奏法(同一音を、ピッキングのダウンアップで反復し、持続する音の様に聞かせる)がある。その他、アルペジオ奏法、デュオ奏法、トリオ奏法、ハーモニクスなど。
マンドリン属には、
がある。
形は、マンドリンとほぼ同じだが、音が低くなるにしたがって、楽器が大きくなる。
これらの楽器に、クラシックギターとコントラバス、ときには、フルートやクラリネットを加えた編成で合奏をするのが日本では一般的である。
さらに、マンドリン属には、
なども存在する。クワルティーノやマンドラ・コントラルトは、一般的には用いられず、特別な曲に使用される。また、マンドリュート(リュート・カンタービレ)は、主に独奏用に考案された楽器である。
ブルーグラスの音楽で多く使用されている、ボディの後がフラットなマンドリンのこと。エレキマンドリンやエレキマンドチェロなどもある。
日本でのマンドリン受容史においては、歌謡曲にもマンドリンが使われている。
特に、大正12年に明治大学マンドリン倶楽部を創設した古賀政男の足跡は非常に大きく、日本的な哀愁を帯びた古賀メロディー(『影を慕いて』『丘を越えて』『誰か故郷を想わざる』『悲しい酒』など。生涯作曲数は3000とも4000とも言われる)は日本におけるマンドリンやギターの普及と愛好に貢献し現在もなお愛されている。
また、CMやドラマなどのBGMとしてもしばしば用いられているが、愛好者層が限られていることから必ずしもその音色が多くの人に膾炙されているとはいえず、それがマンドリンの音であることに気づかれていない場合も多いものと思われる。
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