著者:マーティン・エイミス翻訳:北田絵里子出版社:早川書房 映画の紹介をテレビで見かけて興味を持ったので読む。 ナチスの強制収容所所長のドル、ドルの部下で将校のトムゼン、 収容所内で働く労務班長シュムルの3人が淡々と語る それぞれの日常によって浮かび上がる異常さがじわじわと恐ろしい。 人間の持つ闇、社会背景を反映した正常と異常の基準、 都合の悪いことは敢えて知らないフリをしている無数の人々など、 考えさせられる内容で溢れている。 時代を越えて批判したり綺麗ごとを並べるのは簡単だが、 その時代のその社会背景に組み込まれたとき、 どのような生き方をするのだろうか。 案外難しい選択になりそうだ。 所…