Michael Haneke 監督、脚本家、俳優
ドイツのミュンヘンで生まれ、オーストリアのウィーナーノイシュタットで育つ。ウィーン大学卒業後、映画評論家、ドイツのテレビ局で編集者等の職業に就き、1989年に長編劇映画デビュー。以後、人間の深い闇が否応なく観客に突きつけられる作品を多数発表している。カンヌ映画祭コンペティションにおいてはノミネート常連でもある。 2012年現在、ウィーン在住。
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71フラグメンツ [DVD]
カフカの「城」 [DVD]
ファニーゲーム [DVD]
コード・アンノウン [DVD]
ピアニスト [DVD]
タイム・オブ・ザ・ウルフ [DVD]
隠された記憶 [DVD]
リスト::映画監督
原題は「Happy End」 「愛、アムール」から5年、ミヒャエル・ハネケ曰く 「そろそろ嫌な映画を撮る順番だ」(笑) 2005年、静岡県の進学校に通う16歳の女子生徒が 母親に劇物のタリウムを摂取させ 殺人未遂容疑で逮捕された事件がモチーフ その様子はブログに綴られていたそうです 「I☆Japan」のTシャツにはウケた(笑) 「ハッピーエンド」というタイトルも素晴らしい 70歳を過ぎたハネケの、このハイセンスでブラックなユーモア さすがでございます 冒頭、スマホで動画を撮影する縦画面女性が洗面所で吐き、口をすすいで用を足す 次の映像では、ペットのハムスターに薬を盛り 死んでいく様子を撮影して…
「明日の朝9時までに あなたたちを殺せるか否か」 「ゲームをしよう」 原題は 「Funny Games」(面白いゲーム) 噂にたがわず凄い映画でした 休暇中の幸せな家族の別荘に2人の青年が訪れ 金目的でもなく、怨恨があるわけでもない その家族を殺していくというサイコスリラーですが 殺戮シーンもなければ、レイプも女性の裸さえない 私たちが映画に求める「過剰な過激」さや 「極限下で命さながら助かる」とか「都合のいい奇跡」を 全て排除しているのです この映画に君たちが期待しているものは何もないのだよと それどころか、残るのは不快感だけ じゃあ何を目的にしているのかと、あえていえば 生まれながらのお金…
原題は「Das weiße Band」 ここでの「白いリボン」とは ”純潔に育つように”と願いをこめて(間違いを犯した)子どもに 親が結ぶもので、一方で子どもにとっては ひとめでそれとわかる屈辱的なもの 1913年、ドイツ北部のプロテスタントの村 小学校の教師(の年老いた声)によって物語は語られます 村で唯一の医師が落馬し大けがをし、町の病院に運ばれます 原因は邸宅に向かう道の木と木の間に、針金が張られていたからです その日、帰宅が遅くなった子どもたちに牧師が説教をしていました 針金を張って医師を怪我させたのは 牧師の子どもたちではないかと臭わせるシーン 実際にハネケの最初のアイディアは、子ど…
ブログを更新するのは久々である。 つい少し前に祖母が他界した。 92まで生きたのだから、大往生である。 葬式は孫の祭りと言う言葉があるが、嘘っぱちもいいところだ。 私の父母共に、現在精神病院に入院中である。 となると孫である私が喪主になる。 田舎の葬式は、色々としきたりもあって面倒極まりない。 親戚を不愉快にさせながらも、何とか全てを終わらせられた。 その日は、火葬場まで行く霊柩車の窓から大きな雲が流れて行くのをぼんやり見ていた記憶しか残っていない。 悲しい気持ちなんてなくて、むしろ清々しかった。 私の心は、窓から見える大きな雲の上あたりにあって、鼻歌なんぞ歌ってみたりしていた。 亡くなる前祖…
2001年のフランス映画「ピアニスト」(原題 La pianiste) ハネケの「ピアニスト」はオーストリア映画? 「ピアニスト」のあらすじと予告編 いわくありげな主人公のふたり 主演の2人のピアノとの取り組み方 「ピアニスト」をみたあとで ハネケの「ピアニスト」はオーストリア映画? もし、ミヒャエル・ハネケという監督さんの映画が好きだというひとに出会ったら、私は「へぇ~この人はとても芸術的な感性の持ち主なんだなぁ」と思うだろう。 ハネケが監督し、2001年のカンヌ映画祭で3つの賞を得て、名作の誉高い「ピアニスト」はいくらピアノが題材とはいえ、あらすじを読んだだけで、その難解さと「異常な」世界…
こんにちは。ハッピーエンドに憧れるサトーです。お金持ちになってハッピーエンドになれたらいいですね。 さいきん見た映画の感想です。 ストーリー ハッピーエンド(字幕版) イザベル・ユペール Amazon スマホに映るのは、暗い廊下の先にあるバスルーム。女性が寝る前のあれこれをしています。撮影しているのは娘のエヴ。 エヴは薬物依存症の母に不満があるようで、彼女が入院するよう仕向けます。 母が入院したので、父と暮らすことになったエヴ。 父が暮らす家は豪邸です。お金持ちの一家なんですね。 不気味なおじいちゃん、敏腕経営者のおばさん、オラオラ系の従兄、存在感の薄いパパの妻アナイス、そして赤ちゃん。 みん…
原題は「La Pianiste」 原作は「ポルノ作家」などとして非難されたオーストリアの エルフリーデ・イェリネク(2004年ノーベル文学賞受賞)の 「Die Klavierspielerin」(ピアニスト 1983) 賛否両論も当然の作品とは思いますが いままでにないマゾヒズムの解釈で、私は面白かったです 自虐という心の闇、心に焼き付く強烈なカット お風呂場の剃刀はさすがにビビりましたけど(笑) ウィーンの名門音楽院で優秀なピアノ教師として働く 39歳のエリカ(イザベル・ユペール)は母親とアパートに二人暮らし (父親はすでに亡く長らく精神病院に入院していた) 干渉的な母親はエリカの帰りが少し…
ロン=ティボー国際コンクールピアノ部門 現在、フランス・パリでロン=ティボー国際コンクール(le Concours international Marguerite-Long-Thibaud-Crespin ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール)のピアノ部門が開催されている。 11月10日(日本時間18時)からセミファイナルが始まるそうだ。 10名の中には、日本の亀井聖矢さん、重森光太郎さんという2人のピアニストも含まれている。 先日記事にしたスタニスラフ・ブーニンさんも、このコンクールの優勝歴がある。 こうした話題を目にすると、何だかとても「心がヒリヒリする感じ」がある。 それでも「コン…
私のミヒャエル・ハネケ監督作品コンプリートも後三つとなりました。 今回とりあげるのは、『コード・アンノウン』と『71フラグメンツ』。 またしても(?)な感じでした。やっぱりハネケ監督には、いつも煙に巻かれます。 『コード・アンノウン』から感想を述べますと、こちらの作品は、かの美しい女優ジュリエット・ビノシュが主人公です。ほんとに綺麗だよね。それは、それとして、私は、この作品は、ジュリエット・ビノシュが出るので半分くらい安心していました。もう一つ彼女が出演した『隠された記憶』でも酷いことにはならなかったので、やはり、ハネケ監督といえどもジュリエット・ビノシュに汚れ役はさせられなかったのでしょうか…
今日は、休みで映画やアニメを見ていました。 映画の方は、またしてもミヒャエル・ハネケ監督の最新作『ハッピーエンド』です。ハネケ監督が描くハッピーエンドってどんなもんなんだと。楽しみに見ていると。 お決まりの変態ネタです。まあ、これは、これでいいとして、配役が『愛、アムール』のイザベル・ユペールとジャン・ルイ・トランティニャンが同じく親子役で登場です。 しかも設定が似ている。多分アムールの続きというわけではないのだろうけど、何か匂わせています。でも、この作品。今までのハネケ監督の作品としては、優しい感じがしました。ハネケ監督ももう79歳。この作品が最後になるのではとも言われていたらしい。でも、多…
●概要 ●海外勢953名 ●他俳優 ・「日本勢のリスト」へ ●概要 映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優、その他スタッフといった映画人が影響を受けた・好きな映画。 「国別」、未個別化「一覧」、それ以外「その他作家」、「映画評論家のベスト」 ※2022年12月21日追記:文字数制限のため「日本勢」リンク集独立
今朝も夜中に夢をみていた。今朝の夢も映画の夢で、詳しく書くと長くなるから要点を書くと、それはある家族の話なのだけれども、要するにその母親が息子と性的関係を持つようになってしまうのだ。夢はその関係をじっくりと捉えた映画についての夢で、わたしは夢の中で「それはミヒャエル・ハネケの『愛』という映画だろう」と思っている。現実にハネケには『愛、アムール』という映画はあるけれども、決してそういう内容の映画ではない。目覚めてからも「なんでそんな夢をみたのかなあ」と、いぶかしく思ってしまう夢だった。 「観ようかな」と思っていた、ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』が今、となり駅の映画館で上映されて…
こういうことを言うと、きっとバングラデシュの人に怒られると思うので小さな声で囁こう。バングラデシュは・・・、決して美しくはない。もう少し具体的にいうと、一般的な美意識からすると、美しさの基準から外れている、と思われる。あまり具体的ではなかったかもしれないので、1つ例を挙げてみよう。 むかし、アフリカのどっかの国からの帰路でロンドンに到着すると、次の乗り換え便のJALがストで欠航になっていた。UAEのエミレーツが日本に就航していなかった時代だ。当時アフリカに行くには、全てヨーロッパ経由だった。日航は、代償として僕に以下の3つオプションをオファーした。 ① ロンドンでストが終わるまで待つ(ホテル代…
学歴がないという理由で解雇された中年のラリーは,イーストバレー短期大学に入学し,学生部長からのアドバイスでスピーチと経済学の受講を決めた.スクーターで通学する内に,スクーター好きの女子学生・タリアや彼女の仲間とも友だちに.タリアの影響でオシャレに変身したラリーは,スピーチクラスのメルセデス・テイノー先生ともいい雰囲気になる.メルセデスはブロガーで作家の夫とケンカが絶えない日々を送っていた…. 置かれた状況によっては,この手の映画はミヒャエル・ハネケ(Michael Haneke)の作品以上に気味が悪い.常に前向きであれ.社交的であれ.人と自分を信じよ――本作からのメッセージは,放縦な凡論に枕詞…
こんにちは。やっと観れました。何から書いたら良いのか分かりませんが思いつく感じで書いてみます。まず本作は非常にロングショットが多いです。旧き良き映画と言っても良いかもしれません。この時点で僕はもうこの映画を支持したいです。おこがましいですが僕も最近の映画は全体的にカメラが近過ぎると思っていたのでそこがまず良かったです。それからこれも最近の映画に言えることですが画質が綺麗過ぎて個人的な意見ですが普通のシーンでも裏に何かあるのではないかという不穏な予感がつきまといます。映画がフィルムの時代もフィルム特有の映像の質感があったと思いますがその違和感には慣れてしまっているというかそれこそが映画だという意…
〈2022年6月19日の記事〉 大人の色気を醸し出す演技派 映画『男と女』『Z』『愛、アムール』などで知られるフランスの俳優、ジャン=ルイ・トランティニャンさんが17日に、仏南部ガール県の自宅で死去したことが伝えられた。 決して誰もが認めるというハンサムというわけではなく、日本での人気は今ひとつだったが、大人の色気を醸し出す渋い演技派として、欧州では引っ張りだこの俳優だった。 前立腺がんを患い闘病生活を送っていたが、最期は家族に囲まれながら静かに息を引き取ったという。享年91歳。
全3項目 ●代表作 ●「The Criterion Collection」の「JOEL EDGERTON’S CLOSET PICKS」より9本 ●「Letterboxd」の「Four Favorites with George Clooney, Callum Turner and Joel Edgerton of The Boys in The Boat」より4本 「自転車泥棒」より 全3項目 ●代表作 俳優「ウォーリアー(2011年)」、 「キンキーブーツ」、 「13人の命」、 Netflix(ネットフリックス)ドラマ共同制作「少年は世界をのみこむ」等 俳優、プロデューサー、脚本家、映画監…
原題は「The Killing of a Sacred Deer」(神聖な鹿の殺害) ミヒャエル・ハネケのような不気味で居心地の悪さ でもハネケの「本当に怖いのは人間」とは違って 神がかっている これは映画の終盤で娘が学校のレポートで「A」をもらったという ギリシャ神話の悲劇「イピゲネイア」にヒントがあるのですね トロイ戦争の英雄アガメムノン王は 「私の狩りの腕前には女神たるアルテミスもかなわないであろう」 と 女神アルテミスが可愛がっていた鹿を殺してしまいます 怒った女神アルテミス(残酷な手段を辞さないことで名高い)は ギリシャ軍が港から出征できないよう風を止めてしまい アガメムノンの娘、王…
籠の中の乙女 [DVD]クリストス・ステルギオグルAmazon 海外では、カフカ的な不条理な味わいの作品(現象)のことを「カフケスク(Kafkaesque)」と呼ぶらしいが、それならば、このミヒャエル・ハネケ的な味わいの作品を、「ハネケスク」と呼んでもいいような気がした。 ここでは両親によって外の世界から完全に隔離された3きょうだいが描かれるのだが、その一般常識からかけ離れた生活のナンセンスさ、そんなルールをつくって押し付ける両親の理不尽な非人間性に、ハネケ映画で描かれる理不尽さと近いものが感じ取られた。 登場人物はその家族の両親と、長男、長女、次女の5人、それとクリスティナという女性の、ほぼ…
いつもなら家事で身動きが取れない土曜の午後、今週は珍しくフリーになったので、これは映画館に行くしかないと。デ・パルマ『悪魔のシスター』再映が気になったが、何か新作を見ようと思い、昨年見逃して気になっていた草野なつか監督『王国(あるいはその家について)』鑑賞。ポレポレ東中野にて。ちょっと驚いたことに、ノースターのインディペンデント作品なのに若い観客でほぼ満席でしたよ。作品の高評価が伝わってるのかな。 映画は親友の娘を殺した罪で収監中の女性が調書を確認する場面から始まる。女性が調書にサインすると画面は暗転、脚本を読み合わせする俳優たちのリハーサル場面へと展開する。出版社の仕事を休職し茨城県竜ケ崎市…
全3項目 ●代表作 ●「The Criterion Collection」の「Willem Dafoe’s Closet Picks」より12本 ●「letterboxd」の「Four Favorites with Emma Stone, Kathryn Hunter, Mark Ruffalo, Willem Dafoe and Yorgos Lanthimos」より5本 「鬼婆(新藤兼人)」より 全3項目 ●代表作 俳優「プラトーン」、 「ミシシッピー・バーニング」、 「スパイダーマン」シリーズ、 「ストリート・オブ・ファイヤー」、 「処刑人」「アクアマン」、 「ジョン・ウィック」「トーゴ…
年明けちゃったけど2023年のベスト10です。 『枯れ葉』 いつものカウリスマキ。でもそれこそがぜいたく。 『ほつれる』 ミヒャエル・ハネケみたいな怖さがある映画。Prime Videoで観られます。 『ザ・キラー』 すごいんだかすごくないんだかよくわからない殺し屋の映画。Netflixで観られます。 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 ホラー、アクション、ブロマンス、戦争といろんな要素が詰まった傑作。 『逆転のトライアングル』 皮肉とキャッチーさのバランスがいい。 『窓ぎわのトットちゃん』 出征のシーンが怖い。 『ポトフ 美食家と料理人』 トラン・アン・ユンの映画にしては暖色でトーンがまとめられてて…
さて、作者としてではなく第三者として私が『ハンチバック』の批評を行うとしたら用いるだろう作品を三作挙げて解説したいと思います。私の執筆スタイルとして、事前の作品構想は緻密ではありません。完成後に自分の書いたものの意味が掴めてくるという感じですので、ここに挙げた作品も、構想段階から組み込むことを企図していたものではありません。あくまで私自身が「一読者」として分析の手がかりにする作品三作です。読みの正解は一人一人の読者の中に! 『冥府の建築家』 冥府の建築家―― ジルベール・クラヴェル伝 作者:田中 純 みすず書房 Amazon 資産家で、背骨の曲がった、芸術家(五七五調)。というところでジルベー…
「私の恋の相手は幽霊。彼の幽霊に恋をしてる」 アカデミー作品賞に輝いたドラマ映画『イングリッシュ・ペイシェント』が、BSでテレビ放送されます。 >> TV映画(BS・地上波) - 映画ときどき海外ドラマ この記事では、『イングリッシュ・ペイシェント』のあらすじとキャスト、原作小説との違いついてお伝えします。 『イングリッシュ・ペイシェント』テレビ放送(2024)はいつ?上映時間は? 『イングリッシュ・ペイシェント』あらすじ【全身にやけどを負った男“イギリス人の患者”に秘められた過去とは?】 【主人公を演じたのは?アカデミー賞を獲ったジュリエット・ビノシュとは?】登場人物&キャスト ラズロ・アル…
●映画評論家●映画史家●他 ●映画評論も手掛けた小説家 ●映画理論家としても活躍 ●哲学者 ●評論家・批評家出身の映画監督 ●批評家としても活躍