自分の場合、都会の喧騒の中にいると、音だけでなく視覚的にもすべてがうるさく嫌に感じる瞬間があって、イヤホンで音楽を流さずして街をさまようのが苦痛に近くなってくる。どこからも何かしらの音が流れていて、話し声やら店のBGMから人の思想やら感情やらが殴り込んでくるようだ。沈黙の満員電車でさえ、各々の思想や感情がかえって露骨に感じてしまう。逆に街宣車のような特異なものが入ってくると新鮮さすら感じる。 作曲家のマリー・シェーファーが"音鎮痛剤"と呼んだ音楽の効果は、そういった苦痛を緩和させるものであって、現在でもこのような形で見受けられる。 風と水と鳥の声ぐらいしかしない静かな場所で静寂を大音量で聴きた…