スイスの映画の父と呼ばれるアラン・タネールが2022年9月11日、92才で死去した。 そのわずか3日後、ジャン=リュック・ゴダールが亡くなり、ネット上ではゴダールへの追悼メッセージや記事が溢れた。ゴダールの影に隠れたような格好になってしまったが、アラン・タネールは日本でも80年代半ばに特集上映が組まれるなど、リアルタイムに紹介されてきた作家である。 しかし、この30年間、日本ではアラン・タネールが正当な評価をされてきたとは言い難い状況だ。昨今、ダニエル・シュミットや、フレディ・M・ムーラー等、スイスの名匠の作品がリバイバル上映され、再評価が進んでいるが、アラン・タネールが真打ちとなって、日本の…