本棚から取り出して、昔に買った古い新書を読みました。中沢信午『遺伝学の誕生 メンデルを生んだ知的風土』(中公新書、1985)――「遺伝の法則」を発見したグレゴール・メンデル(1822~1884、オーストリア)の評伝です。今年(2022年)はメンデル生誕200年。 メンデルは修道士でした。彼の修道院はオーストリア(現在はチェコ共和国内)の地方都市にありました。その修道院は科学の研究活動に積極的で(その背景は省略)、メンデルも科学研究や教育活動をおもな仕事にしていました。 そして彼は修道院長の後押しのもと、遺伝についての研究をはじめます。 修道院内の実験用の畑でエンドウ豆を交配し、育った豆の色やシ…