著者は通信社を経営しつつイタリア関係のエッセイを何冊も出しているらしい。文庫の新刊広告で「旅する本屋」に惹かれて読んでみたくなった。 ベネチアで、親切で知識該博な古書店を見つけた著者はその店で何かと買い求めるようになる。そして親しくなった店主の父親から、先々代がモンテレッジォという村の出身であること、その村が本の行商をなりわいにしていたことを教えられ、俄然興味が湧いて村を訪ねることにしたのだった。 現在のモンテレッジォは住人の少ない過疎の村だが、子孫たちが村の歴史を守るべく様々な活動をしており、そこから様々な人たちへの取材が広がることになる。 元々貧しい村であり、農作業の出稼ぎなどで生計を立て…