世界中の様々な珍しい風習や気持ち悪い映像をかき集めた、好奇心だけでみる暇潰しな悪趣味すきる映画のこと。期待して見ると映像がヤラセだったりしてガッカリすることもあるが、はじめから何も期待しないでみるとあんがい面白い。
語源はヤコペッティ作品の"Mondo Cane"から。
これから見せる文章は、富木魔公(とみきまきみ)氏が出版する月刊映画雑誌『キネマノミコン』に掲載されている「令和はらわた録」という、まあ中くらいのデカさのコラムに寄稿する予定だったやつです。諸事情により掲載の機会が失われちゃったからこっそりとここで公開することにしました。ちぇっ。 令和はらわた録 第65回 『令和の食人族』 ダイナマイト豊田 【令和の映画視聴】 この令和、映画視聴といえばネトフリやアマプラといった配信の時代。この長い人類史において様々な時代、様々な立場の人間が様々な思想を込めて世に放った素晴らしき映画の数々。そんな名作たちを誰でもどこでも指先のひと動作で再生することができる時代、…
「バクラウ 地図から消された村」を観た。 第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したブラジル産スリラー。監督はブラジルの新鋭と言われる、長編3作目のクレベール・メンドンサ・フィリオ。まったくキャストを知らずに鑑賞していたら、ラース・フォン・トリアー監督作の常連であるウド・キアが出演していて驚いた。都内では今のところ一館のみの上映という事でかなり限定的な公開ではあるが、ネット上でもかなり高評価だし、シッチェス・カタロニア国際映画祭でも監督賞を含む3冠獲得、映画誌「カイエ・デュ・シネマ」でも2019年ベスト10で外国映画部門第4位と話題作であった為、鑑賞してきた。今回もネタバレありで感想を書きた…
わたしは所謂スピリチュアルブログを書いたりもするけど、その実、筋金入りのアングラ大好き中年でもあるのだ!笑 オカルトもオカルトで好きだけど、物心ついた頃からホラー漫画、ホラー映画が好きだったし、レンタルビデオ屋に置いてあったモンド映画の大半は鑑賞済み。中でも、黒人奴隷時代の惨い描写と、奴隷の末裔が現代でバカンス中の白人家族を惨殺するラストが印象深いモンド映画の傑作 ヤコペッティの残酷大陸 のサントラは、今でも大好きで20年以上聴き続けてる名盤だったりする。 ……………………………… ……………………………… そんなこんなで、子供の頃から心霊、UFO、UMA、ホラー、モンド作品などが大好きだった…
ムチで打たれ、鎖に繋がれ、挙げ句、最果ての地に置き去りにされても尚、再会を待ちわびた飼い主の元へ、猛然と駆け寄る“物言わぬ”友人たち。 健気で従順で、ゆえに愛らしくそして憐れな犬よ。 「タロ」そして「ジロ」と。彼らを呼ぶ健さんの、声にならない声と、叫びに、言葉にならない斬愧の念と無上の愛が代弁される。 令和の時代に見れば、どうしたって動物虐待すれすれの演出が気になって仕方がないし、むしろ映画史的にはモンド映画にも近い手触りすらを覚える。まさに犬の従順さに甘えた都合のいい創作。ただ、だからと言って、往年の大ヒット作を古き時代ごと否定するつもりはない。 広大な南極大陸に降りそそぐヴァンゲリスのシン…
Riz Ortolani & Nino Oliviero: More from “Mondo Cane” OST (1962) - YouTube 現在のわれらのヴェイパーウェイヴへと続いているかも知れない、チン奇な音楽の流れをたどるシリーズ記事。前回の第1話、《エキゾチカ》から続く(★)。そしていまわれわれは、《モンドミュージック》について一定の知見を得ようとしてるんだけど、しかしその前にひとこと。 この《Mondo Music》なる語は、ニホン以外の国と地域では、そんなに言われていないのでは? 和製ジャンルなのか? そんな気がしてきたんだ、いろいろ調べているうちに。というのも、まず英語のウ…
ホラー映画やモンド映画を扱った批評集の第二弾。第三弾まで出ているが、洋泉社解散にともないすべて絶版、店頭在庫もあまり見かけないので、見つけたら即ゲットをおすすめする。 取り上げられているのはロブ・ゾンビを皮切りに、『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』等のスラッシャー映画、『アクト・オブ・キリング』や『セデック・バレ』など歴史に関する映画。『エレファント・マン』についての詳細な論考が特に光る。 人間の獣性・残酷性に迫りつつ、本質的には自由についての本だなと思った。暗黒映画評論 続悪魔が憐れむ歌posted with amachazl高橋 ヨシキAmazon.co.jpで詳細を見る
この映画についてWikipediaを見た。作画は凄いが脚本が…という意見があった。確かに、陸軍にも海(水)軍にも成れず万人から見下される宇宙軍が栄光を掴むという話の筋は昼行灯がいざという時に活躍する典型的なものだ。しかしこの作品の魅力はそこではなくこの世界とは違った国の文化が映し出される事だと思う。それも最高峰の作画で。 海外旅行がまだ身近では無かった頃、人々はモンド映画と呼ばれる海外の奇習を見る事でその欲求を満たしていた。また、細田守はアニメーションの魅力として実在感や日常の再現を挙げている。 この2つ、異文化と日常の再現が上手く融和した映画が王立宇宙軍であると言える。だから、正直ストーリー…
漠然とした不安を和らげるには 奇妙な村の風習に付き合わされる映画 コミューンの風習の設計、宗教、死生観、文化 画面作り、美術による演出、ゴア描写の作り込み この映画の感想には色々な角度から語れる部分がある。 展開やストーリー自体はシンプルである程度予想はできるストーリーであり、 観ながら、こうなるんだろうなーと思っている通りに進んでいくため、ホラー映画としての楽しみ方 ではないだろう。 前作、ヘレディタリーがどこに進んでいるかわからないといういい意味での不快さのある映画であることに対し、 ミッドサマーは分かっている終わりから逃れられないという不快さなのだろう。 したがって、怖さや斬新さを期待し…
2020年3月に、ちょこまかとtwitterにて書いていた短い映画感想の備忘録(一部加筆修正)です。 ※ 【劇 場】 ◆タウンゼント探偵社が擁するスパイの一員であるサビーナとジェーンのもとに、新エネルギー装置「カリスト」の主任プログラマーであるエレーナから、それが武器への転用も可能であるとの内部告発がもたらされる『チャーリーズ・エンジェル』(エリザベス・バンクス監督、2019)は、粗がないではないが、シリーズの価値観のアップデートを試みた意欲作だった。冒頭、クリステン・スチュワート演じるサビーナが悪役(=男)──そしてスクリーンをとおして僕ら観客──と文字どおり正面から対話する内容が、愚直なま…
久々に一人で映画館に行き、ミッドサマーを観た。今まで家族になんとなく忖度して映画に一人で行くことは控えていたのだが、えいやと行ってみた次第。一人分のポップコーンと一人分のダイエットコーラ。バターの染みこんだポップコーンをコーラで流し込んだら、そうそうこれだよ、最高だなってなった。 それで映画の方は、端的に言うとそんなに怖くなかった。 吐き気も感じず、途中で出たいとも思わず、まあこんなもんかとそこそこに楽しんだ。 前日に『へレディタリー』も観た。足元で猫が寝ていたせいか、やはりこれも怖くなかった。 帰ってから自分にとってなにが怖いのかと考えた。布団の間から見知らぬ顔が覗いているとか、暗闇からゆっ…
『モデラート・カンタービレ』 デュラス、自らを語る2012-12-01 12:56:38テーマ:映画と演劇 デュラス:「わたしはそれを、『モデラート・カンタービレ』で外側から語った」(『語る女たち』1974) ・ 『モデラート・カンタービレ』とは、つまり、中ぐらいの早さで、歌うようにと云う楽譜指定、です。 つまりこの表題は、過剰な情感を籠めて高くも低くも、そして囁くようにも、有意味に歌うな! 「外側から語る」とは、言外の黙示的含意をくみ取れ!と云う指定です。 『モデラート・カンタービレ』は、デュラスの作家としての転換点となった、重要な作品であることを、彼女のインタヴューを通して初めて知りました…