出典:Pixabay 小説を書くとき、傍に置いているのは、いつ頃からかフランソワ・モーリアック(遠藤周作訳)『愛の砂漠』(講談社[講談社文芸文庫]、2000)だ。 フランスのボルドーに生まれた、カトリック小説家として知られるフランソワ・モーリアック(François Mauriac, 1885 - 1970)。 フランソワ・モーリアック(1952年)出典:Wikimedia Commons 小説の技法の高度さ、視点の柔軟さ、内容の小市民的良識から傾斜した底知れない深み……小説を書きたいときには、本当に参考になる。 父と子がマリア・クロスという蠱惑的な女性に恋をし、どちらもが失恋するという幻滅の…